2012 様似共栄牧場レポート

2012 様似共栄牧場レポート

様似共栄牧場

昭和43年創業の様似共栄牧場は、山奥深い様似町岡田地区に構える牧場です。周りは木々に囲まれ、山の傾斜を生かした放牧地が特徴。牧場には1990年のオークス馬エイシンサニーが繋養されており、名牝の姿を目にしながら、高校2・3年生の男子3名が参加しました。

ここでは牧場仕事の基本となる寝わら上げ、馬の手入れ、出し入れ、水桶洗い、草刈りを行いました。寝わら上げでは初めて使うフォークの使い方に悪戦苦闘しながら、きれいな寝わらと汚れた寝わらを選り分けます。その後は新しい寝わらロールを運び出し、大きな動作でほぐして馬房に敷きます。参加者は「思ったより寝わらが重かった」、「手にマメができそう」と苦笑いしながらも、複数の馬房の“ベッドメイキング”をやり遂げました。水桶仕事では馬房一つ一つをまわって、丁寧に水桶を洗います。水桶はどんなに洗っても毎日汚れるものなので、根気良く続けなければならない仕事の一つです。洗うこと自体はそう難しくないので、ムダなく短時間に終わらせることが求められます。毎日繰り返される一つ一つの作業に対し、牧場の方はキビキビと対処していて、参加者はその動きを真似ることで作業を上達させていきました。

馬の出し入れではエイシンサニーを含めた繁殖牝馬を引きました。厩舎と放牧地を結ぶ短い道のりながら、万が一馬が暴れれば放馬のリスクも生じます。注意事項をしっかり聞き、人馬呼吸を合わせて歩きました。「貴重な体験ができました」、「馬は大人しく、人間の言うことをよく聞いてくれました」と、彼らにとっては文字通り、馬の世界に踏み出す一歩となったかもしません。ファームステイでは地元の温泉に行ってリラックス。牧場の方からは様々な話を聞けたようで、「馬についての知識が格段に増えた」、「生産牧場と育成牧場の違いがよくわかり、将来の方向性が定まりました」と満足そうでした。

様似共栄牧場の辻陽さんは、
「3人とも非常に真面目で、一生懸命仕事に打ち込んでいました。厩舎作業や草刈りのような地味な仕事も、強い馬づくりにつながる大切な仕事だと、体験を通じて理解してくれたら嬉しいです。牧場の仕事は容易くありませんが、生産馬がレースで優勝した時や、セリで売れた時の喜びは格別です。馬産地は今、若い働き手が不足し、かつての活気を失いつつあります。一人でも多くの方に、牧場の仕事に興味を持って欲しいですし、こうした試みには継続的に協力していきたいです。」
と、心強い言葉をいただきました。

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