2015 宮内牧場レポート
2015 宮内牧場レポート
宮内牧場
今回で受け入れ2回目となる宮内牧場には4名の女子学生がお世話になります。最初の挨拶では多少の緊張もありましたが、宮内慶さんから帽子のプレゼントがあり、みんなの緊張がほぐれて和やかなムードになりました。頂いた帽子をかぶり軍手をはいて準備完了、早速仕事にとりかかります。今日彼女たちに体験してもらうのは集牧と馬の手入れ。先ずは集牧からはじめます。2名1組になり、親子の馬を放牧地から厩舎まで連れて行くことに。放牧地の出入り口では何組もの馬の親子が厩舎に帰りたくてすでに集まっています!いよいよ初めての集牧。母馬は大きいですが慣れたもので、人に合わせてゆったり歩いてくれるのでスムーズに進行しますが、仔馬は見慣れない女の子がたくさんいるので緊張したのか、早く歩いたりする場面があったりして仔馬の力強さに驚きました。それでも宮内さんご一家が近くに寄り添い、落ち着くようにアドバイスをくれたので難なく終了しました。
次は集牧した馬の検温や手入れのしかたを教えてもらいます。先ずは当歳の検温。体温計を少し湿らせてから仔馬のしっぽを上にあげておしりにゆっくり入れます。体温を測りながら次はブラシかけ。放牧地で怪我していないか、傷はないか、脚やお腹の下まで良く観察しながら金ブラシとブラシのかけかたを説明してくれた宮内慶さんは「ブラシをかけることは、マッサージ効果もあり血行促進を促す大切なものです。話しかけながらブラシをかけて、コミュニケーションをとりながら身体のチェックを毎日繰り返す事によって信頼関係が生まれてきます。また、脚はなるべく軍手をとって素手で触って下さい。というのも脚が腫れていたり熱をもったりしているのを感じ取るには素手じゃないとわからないから。毎日触って些細な変化を感じ取れるようになることを心がけています。」と教えてくれました。女子学生達も挑戦してみます。
驚くほど人間に慣れていて、今日初めて会う学生達の手入れでも受け入れる宮内牧場の当歳馬達。それは生まれてからすぐ宮内さんがお腹の下、脚、耳、顔、口などありとあらゆるところを毎日毎日触り続ける事をコツコツと繰り返した努力の結果。ベルベットのように柔らかい毛並み、可愛らしいしぐさの仔馬にブラシをかけ、癒されながらも、脚をあげたりする事もたまにあるので気を付けながら進めます。教えてもらったことを思い出しながら怪我はないかなど良く観ながら作業を進めました。
2日目も集牧から始まります。昨日は母馬の大きさに少し怖さを感じた女の子もいたようですが、手入れなどで触れ合ううちに緊張がほぐれて上手く一緒に歩けました。手入れをした後、馬達のご飯について説明がありました。プロテイン、ファイバー、ミネラル、カルシウム、が配合された総合栄養食、切草の種類、麦やビートその他もろもろ体調にあわせて調合されている事を知り感心した様子です。
とにかく何でも体験させてあげたいというサービス精神旺盛の宮内慶さんの提案で、馬の運動不足解消のためにあるウォーキングマシーンを実際に歩いてみる事になりました。思った以上に早く迫ってくるゴムの壁に、一同「面白い!」「はやーーい」など笑い声があがっていました。
時間ができたので宮内牧場の育成厩舎を見学しに行く事になりました。ちょうどBTCへトレーニングしに行く育成馬を見送り、厩舎の中では競走馬としてのデビューに向けての生活ぶりや道具、施設などの説明を受けました。その後BTCの施設を見学しに連れて行ってもらい、スケールの大きさに驚くばかりでした。お昼過ぎから放牧、寝藁作業もお手伝いしました。この日はファームステイだったので夜はバーベキューをご馳走になり楽しく過ごし、ガールズトークでは東京と北海道の違いの話で盛り上がったようです。
牧場体験最終日、朝早く起きて作業をして集牧。一緒に過ごした馬達を手入れしながらこの3日間を振り返りました。
乗馬がきっかけで馬が好きになり馬の生産牧場に興味をもってボクジョブに参加したという阿部さんは、「宮内牧場の、誰でも触れる馬づくりをモットーにして実践しているところがとてもすごいと思いました。良い経験をたくさんさせて頂いて感謝の気持ちでいっぱいです。」
牧場の仕事に興味をもって参加した檀原さん「牧場の仕事は思っていた以上に仕事の量があり、力仕事が多くて大変でしたがやりがいのある仕事だなと思いました。育成厩舎見学では、セリに出る馬にどれだけ気を遣い手入れをしているかを聞いて驚きました。宮内ご一家は気さくに優しく接してくれて、最初から馬の世話や色々な事を経験させてくれたので明るく楽しく学ぶ事ができました。」
今回の参加で、牧場の仕事内容の全般を知りたいと言っていた秋本さんは「競走馬を育てるために仔馬の頃から色んな工夫をしている事を知りました。繁殖牧場、育成の現場などを見学して、将来の進路の選択肢が増えたと思います。宮内さんご一家には、貴重な体験をさせて頂いて本当にありがたかったです。良くして頂いて楽しい日々を過ごせました。大変勉強になりました、どうもありがとうございましたと伝えたいです。」
馬が好きで馬のグッズを作っているという柳沢さんは「ファームステイできて貴重な体験ができました。めちゃくちゃ楽しかったです。当歳の世話の時にはコミュニケーションをとるためにたくさん話しかけたので興味を示してくれたりしてとても可愛らしかったです。牧場によって色々な工夫があると教えて頂いたので他の牧場にも行き馬について詳しく知りたいと思いました。3日間、大切な馬を、私たちを信頼して預けてくれて本当にありがとうございました。」
学生達の言葉を受けて宮内里佳さんは「馬の姿を見て目を輝かせていましたね。素直な子ばかりで、教えた事も直ぐに覚えて、自分達で率先して動こうという姿勢で仕事をしてくれたのでとても助かりました。私達では伝えきれない部分は馬に教えてもらって、たくさん学んでくれたら嬉しいですね。この先どんな進路に向かうとしても、想像を膨らませて広い視野をもってこれからの人生に活かしてくれたらと思います。」
宮内慶さんは「この先楽しい事、辛い事、大変な事、色々な経験を積んで行くなかで牧場の現場に携わった事を、こんな事もあったなと思いだしてこれからの仕事に繋いでくれたら嬉しいです。」とそれぞれエールを贈りました。