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2013 見学会レポート(関西)

2013 見学会レポート(関西)

今年で3度目となる「牧場で働こう」見学会in関西ですが、悪天候だった過去2回とは異なり、快晴とまではいかないまでも、暑過ぎず寒過ぎずの見学会日和でした。
今回の参加者は抽選で選ばれた23名で、内訳は高校生12名、中学生3名、社会人1名、男女別では男子12名、女子4名の16名の見学者と、付添いの父兄の方が7名でした。
中には昨年の「牧場で働こう」フェアや体験会等の参加者もいて、牧場への就職を真剣に考えていることが窺えました。
当日は全員が時間前に集合したため、予定よりも10分ほど早く新大阪駅を出発することができました。
移動の車中では事務局スタッフの挨拶・自己紹介、参加者の自己紹介、BOKUJOBの紹介DVDの放映を行いました。
自己紹介ではまだ緊張が解けない参加者も多かったですが、馬好き、競馬ファン、乗馬クラブでの乗馬経験者らの集まりですので、すぐに打ち解けることでしょう。

まず宇治田原優駿ステーブルへ ~調教や施設の見学からスタート~

最初の目的地、京都府の宇治田原優駿ステーブルには予定より30分ほど早く到着しました。栗東トレーニングセンターまで車で1時間程度という立地の良さから、JRAの関西所属馬を中心に競走馬をトレーニングしている育成牧場で、現役競走馬だけではなく、この夏のデビューを目指している2歳馬も入厩していました。

まず、坂路コースを見下ろす監視台から、坂路を駆け上がってくる調教の様子を見学しました。昨年に引き続き、事務の平間さんとマネージャーの田中さんが見学者個々に声をかけながら丁寧に説明してくれました。迫力ある調教風景は勿論ですが、すぐ近くで10頭ほどの馬がウォーミングアップやクールダウンのために引き運動をしている様子は、競馬場のパドックのようで多くの見学者の視線を集めていました。

その後、2つのグループに分かれて厩舎エリア等を見学させていただきました。調教後の馬の手入れや装蹄の様子を見たり、ロンギ場や通路でウッドチップやオールウエザートラックの素材(砂とゴムのくずを混ぜたもの)の上を歩いたり、厩舎では従業員の訓練用の乗用馬と触れ合ったりと、貴重な体験をさせていただきました。厩舎では馬房の敷料としておが屑が使用されており、乗馬経験者の中には乗馬クラブでは稲藁しか見たことが無いと興味を示す参加者もいました。

和気あいあいと質疑応答 ~スタッフと会食しながら交流を深める~

一通り見学した後、参加者は食堂に集まり、騎乗練習用の木馬を実際に体験させてもらいました。まず調教主任の布施さんが競走馬の騎乗スタイルであるモンキー乗りについて説明し、模範騎乗を実演してくれました。希望者が4人ほど挑戦しましたが、特に乗馬経験のない参加者は大苦戦。木馬を動かす前に、騎乗姿勢をとることだけで四苦八苦していました。

また、落馬などによる怪我の話を聞き、競走馬に乗ることの難しさを実感できたようです。そして、5つのテーブルに分かれ、宇治田原優駿ステーブルのスタッフを交えて昼食をとりました。直接話ができるので、各テーブルで活発に質疑応答が行なわれていました。

続いて歴史ある信楽牧場へ ~待望の乗馬体験や馬とのふれあい~

宇治田原優駿ステーブルを後にして、第2・第3の目的地のある滋賀県の信楽町に向かいました。所要時間は約40分。ほぼ予定どおりの時刻に信楽牧場に到着しました。信楽は関西でも気温が低い地域であり、新大阪出発時にはちょうど良かった気温も少し肌寒く感じるようになりました。

信楽牧場はJRA栗東トレーニングセンターがオープンしてすぐ開場した、40年以上の歴史を誇る、栗東周辺の育成牧場ではもっとも歴史のある牧場です。90馬房で従業員が20名くらいの中規模の牧場ですが、近隣にある系列牧場のヒルサイドステーブル(60馬房、従業員14名)と連携して実績を上げてきました。

到着した時間は既にこの日の調教や作業は終了していたので、調教コースや厩舎等の施設の見学と、昨年は雨で実施できなかった体験乗馬を行いました。

施設見学は中内田社長のご好意で比較的自由に見学させていたので、参加者は現役の競走馬を間近で見たり、馬と一緒に記念写真を撮ったりして楽しんでいました。体験乗馬は2頭の乗馬を用意していただき、見学者全員が引き馬で乗馬を楽しみました。中内田場長曰く、「ここでもトレセンと同じような調教を毎日行っているが、トレセンにいるときよりも馬がリラックスして、落ち着いている。トレセンだと馬が人間の緊張感を感じ取ってテンションも高くなるのではないか」とのことでした。また、「ここには坂路がないので、トレセンに入厩前の馬は坂路があるヒルサイドステーブルに移すが、坂路がなくても十分効果的な調教は可能である。ここから直接トレセンに入厩して勝った馬もいる」とのことでした。施設だけではなく調教方法や工夫の方が大事ということで、参加者には参考になったことと思います。


訓練された乗馬に颯爽と跨る参加者の皆さん


競走馬をこんなに間近に!


待望の乗馬、順番を待ちわびる参加者たち


参加者とふれあいを求めている?競走馬


記念写真をパチリ

社長と直接の質疑応答 ~熱く語る中内田社長~

参加者全員で集合写真を撮った後、食堂で中内田場長やヒルサイドステーブルの糸数マネージャーと質疑応答を行いました。女子見学者の父兄から、女性の従業員について質問がありましたが、「個人差があるので一概に言えないが、一般論としては、トレセン近郊の育成牧場は現役の競走馬を中心に扱うので、デビュー前の馬が中心の北海道の育成牧場よりも更に女性は体力的にハンデがあるのは否めない。女性の場合は鍛えて体力をつける必要がある」とのことでした。求められる人材についての質問にはお二方とも、まず大切なのは一般常識や社会性のある人物ということを挙げており、牧場に限らずどこに就職するにもベースとなる人間性が大切であるということを仰っていました。


参加者に熱く語る信楽牧場の中内田社長


参加者の質問に笑顔で答えるヒルサイドステーブルの糸数マネージャー

最後はノーザンファームしがらき
~数多くの名馬を育て上げた名門牧場~

続いてすぐ隣にあるノーザンファームしがらきに移動しました。
天気は曇りから晴れに変わっていましたが、風が出てきてむしろ寒く感じるくらいでした。牧場の方の説明によると、ここは関西では最も気温が低いエリアで、夏も涼しく、馬にとってはよい環境なのと、栗東トレセンからのアクセスの良さも相まってこの場所に開場したとのことでした。

この日の調教や作業は終わっていたので、まずは直線坂路馬場を上から見学した後、2班に分かれて厩舎の見学をしました。班によって見学できた馬は異なりましたが、現役のG1馬をはじめ、重賞で2着3着している現役バリバリのオープン馬を見学させていただき、参加者は感激していました。

厩舎では調教後のアイシングとして馬が脚部を水で冷やしているところを見学。相手は機械ではなく生き物なので、1頭1頭馬に合わせた管理が大切で、24時間常に細心の注意を払わなければならないとのことでした。参加者からの質問に対しては、「ここでは夢を持って仕事することができる」「女性の従業員も4名おり、本人次第で十分やっていける」と答えてくれました。その他、海外遠征馬の帯同等についても説明してくれました。

すべての見学を終えて ~大満足の1日~

すべての見学を終えて、新大阪駅に向かいました。車内ではJBBAとBTCの研修を紹介するDVDを放映しながら移動しました。BTCの研修を希望している参加者は、BTCの研修について事務局スタッフに熱心に質問していました。

車内で取ったアンケートを見ると参加者全員が満足若しくは大満足という回答で、参加者にとって非常に有意義なツアーになったようです。事務局スタッフとしては、今回の参加者の中から、1人でも多く将来牧場で働く人が出てくれれば幸いと感じました。

最後に、快く今回の見学会を受け入れて対応してくださいました3牧場に深く感謝申し上げ、このレポートを終了いたします。


調教コースや厩舎で説明を受ける参加者たち


信楽牧場での集合写真

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