2017 体験会レポート(4日目)
2017 体験会レポート(4日目)
レポート(4日目)
体験会の内容も後半に入ります
5泊6日の体験会とはいえ、牧場での仕事体験はこの日が最終日。牧場での仕事も3日目になります。(有)谷口牧場は生産のほかに市場コンサイナーとしての仕事も併せて行っています。
コンサイナーとは、市場に上場する馬を預かり、少しでも見栄えがするように体づくりを行うと同時に、人間とのコミュニケーションがしっかりと取れるように躾を行う牧場のことです。今回は、選抜市場「セレクションセール」が終わったばかりのタイミングとはいえ、サマーセール直前の忙しい時期ではありましたが、2人の女子高校生を受け入れていただきました。
谷口牧場では馬という動物の習性を利用して馬をコントロールし、人間とのコミュニケーションを図るナチュラルホースマンシップを取り入れています。谷口社長は「力で抑え込もうとしたら、男性だって馬にかなうわけがありません。でも、馬という動物を理解すれば女性でも馬をコントロールすることができるということを知ってほしかった」と1歳馬馴致の様子も見せてくれました。
生産、育成、調教どの分野の牧場でも、もっとも大切なのはあいさつです。まずは、大きな声であいさつをすることから1日がスタートします。最初は恥ずかしかっていた2人も牧場での2夜を経験し、3日目の朝ともなれば、すっかり牧場の空気に溶け込み、午前5時の「おはようございます」というあいさつから1日がスタートします。
夜間放牧を終えた馬を馬房に戻し、餌やりと手入れ。それから放牧中の馬の馬房掃除、水桶洗い、エサづくり。牧場での仕事を一通り経験したあとは、市場コンサイナーとしての仕事を見学させてもらいました。
まるで、魔法使いのように自在に馬を扱うスタッフを見る参加者の目が羨望のまなざしに変わります。「牧場という仕事は決して派手ではないし、スポットライトが当たることはほとんどありません。それでも、必死の思いで頑張る現場があるということを知ってほしかった」と谷口社長。移動の際には、馬と一緒に馬運車に乗り込み、馬が車の中でどのような状態なのかを確認できたことも、大きな財産になったかもしれません。牧場で働くという事は体力、筋力が必要です。でも、それだけはないということを知った参加者の目は輝いていました。
BOKUJOB事務局では、参加いただく方々の年齢や性別、そしてなんとなくでも興味を持っている仕事で牧場割をして、実際に牧場での1日を体験いただいております。もちろん、牧場もそのことは理解しておりますが、少しでも多くの仕事を体験、あるいは見学していただき、一方通行にならないように、そして幅広し視野を持てるようにとスケジュールを組んでいます。
5泊6日というスケジュールの中で、実際に牧場で作業していただくのは実質2日間。ほとんどの参加者が事後アンケートでは「短すぎる」という感想を持つのはそのためかもしれません。
3日目の牧場体験は午前中で切り上げて、最初の宿泊地AERUへと戻ります。牧場を出発する際、もっとも大切なことはあいさつです。時間にすればわずか2日間かもしれませんが、お世話になった牧場の方々に感謝の気持ちを伝えると同時に、色々な事を教えてくれた馬たちとの別れを惜しみます。今回、ふれあうことができた馬の血統が頭の片隅にでも残っていれば、今までと違った気持ちで競馬を見ることができるかもしれません。
たった2日前、ホテルで分かれたときは「1度も馬に触ったことがない」という参加者もおりましたが、再びホテルで顔をあわせた17人は全員「馬とともに過ごした経験を持つホースマンの卵」です。
昼食をはさんで、しばし休憩のあとは体験乗馬です。実は、この体験乗馬を楽しみにしている参加者は多いのです。ここではインストラクターの指導のもとで「乗馬をしている」「馬に乗ったことがある」「まったく初めて」等、それぞれのキャリアにあわせたグループレッスンが行われましたが、最終的にはすべてのグループがAERUの外乗コースに出て馬上の感触を確認します。
初めて経験する人は「思った以上に高かった」「馬のリズムで歩くことが気持ちよかった」「手綱を通して馬と会話できたような気がした」等々の感想を持ったようです。やはり、馬という動物を理解するには実際に馬という動物と触れ合っていただくのが1番のようです。
この日の夕食はBTC軽種馬育成調教センターで騎乗技術者養成研修の育成担当者、あるいは実際に牧場で働いている同研修OBとの懇談会です。同研修は1年間の全寮制という厳しいものですが、牧場で働く上で必要な知識や経験を積むことができます。とくに騎乗技術に関しては高いレベルのカリキュラムが組まれ、育成牧場などからは「即戦力」と高い評価をいただいている研修制度です。
たった3日前は、分からないことが分からなかった参加者たちも牧場での実習を終えてある程度の経験と知識を積んでいることで話題も弾みます。実は、体験会を終えたあとは「実際に牧場で働いている人たちと直接話しができる機会を設けていただいて嬉しい」という声も多いのです。