2017 メインフェアレポート
2017 メインフェアレポート
(公社)競走馬育成協会、(公社)日本軽種馬協会、(一社)日本競走馬協会、(公財)軽種馬育成調教センターおよびJRA日本中央競馬会の5団体で構成されている牧場就業促進事務局が、6月3日(土)、4日(日)東京競馬場において、競走馬の牧場への就職に関心を持ち、就業を検討している若者向けのイベントである8回目の「BOKUJOB 2017フェア」を開催した。
強い馬づくりは、まず人づくりから
同事務局は、生産・育成地の牧場での現状の人手不足の解消と将来に向けて次世代の優秀な人材の確保を目指して活動を行っている。
本年の3月には「牧場で働こう見学会 in 関東」と「牧場で働こう見学会 in 関西」を実施、関東・関西の育成牧場の現場を実際に見学、直接現場の責任者・担当者からの説明を受け、仕事への理解と認識を深め、牧場就業への足がかりとする機会を設けている。
また「BOKUJOB 2017 フェア」開催後も、6月24日(土)、25日(日)には、関西地区においては6回目の開催となる「BOKUJOB 2017 関西フェア」を宝塚市のJRA阪神競馬場で開催、他にも「BOKUJOB 2017 サポートデスク(広報&相談コーナー)」を7月15日(土)、16日(日)にJRA中京競馬場、7月24日(月)~26日(水)にインターハイ馬術大会会場(静岡県御殿場市)、8月12日(土)、13日(日)にJRA札幌競馬場、8月27日(日)にJRA宮崎育成牧場、9月2日(土)、3日(日)にJRA小倉競馬場、10月7日(土)、8日(日)に東京競馬場で開催の予定。また、現地の生産・育成牧場に滞在して現場を体験する「BOKUJOB 夏休み牧場で働こう体験会」を7月30日(日)~8月4日(金)に北海道において実施し、全国規模での就職希望者の掘り起こしを行い、優秀な人材の確保を図っている。
今年もGI開催日にフジビュースタンド1階イーストホールで
昨年に引き続き、安田記念(GI)開催中の週末、多数の来場者が見込める東京競馬場のフジビュースタンド1階のイーストホールという絶好の会場で実施された。開催時期を6月にしたことで、フェア参加後、競走馬の牧場へ就業する意識を高めた参加者が、7~8月の夏季休暇を利用して各牧場のインターンシップや「BOKUJOB 夏休み牧場で働こう体験会」などに参加しやすくなっていると好評だった。
また、SNSのFacebook及びTwitterを活用し、フェア参加を呼びかけており、これを見て参加している者も増えているようだ。
参加者は会場到着後、受付票を記入、思い思いに出展ブースでの面談に向かった。
メイン会場 出展牧場は26牧場
今回は、これまで最多の26牧場が全国から集まりブースを出展した。メイン会場は昨年同様コンパクトなスペースで、ブース間もこれまでより近い距離となったことで、常に賑わっている印象だった。会場内に待機したBOKUJOB事務局担当者・コンシェルジュが参加者の動向に常に注意を向け、最初の面談に躊躇しがちな参加者には声をかけて案内し、面談が終了すると次に希望する牧場ブースへ案内するなど、整然とした効率的な運営ができており、参加者・出展牧場からも空き時間がなく、面談に集中できたと大好評であった。
出展牧場は、独自に自牧場の紹介DVDやパンフレットなどを準備し、わかりやすい説明を行っていた。例年同様に面談は牧場主や場長など各牧場の責任ある立場の者が務め、就職希望者の期待を引き出し、また心配な点を解消するようなコミュニケーションをとっており、ブースの運営も円滑に行われていた。
研修・相談エリア、競走馬のふるさと案内所
「JBBA・BTC 研修相談ブース」の面談者は両ブースとも2日間で20組前後だった。面談では、研修内容の確認や寮生活など具体的な内容の質疑が行われた。また、将来は馬の生産育成や馬に関わる就業をするためのスキル取得の第一段階として、JBBAの生産育成技術者研修またはBTCの育成調教技術者養成研修を受験したいという中期的ビジョンを持った参加者が増え、どちらも高校生の面談者の比率が高かった。6月の開催ということで、体験入学会への参加を呼びかけることもでき、参加者の真剣度を感じることができる充実した内容だったようだ。
「進路指導コーナー」にも保護者と参加者が、牧場への就職を前提に、進路について時間をかけて相談をしている姿が目立った。
「競走馬のふるさと案内所」は、会場の入口付近において、出展牧場・研修所のすべてのパンフレットを陳列したほか、「牧場地図」と「牧場見学のルールマナー」を展示し、来場者ほぼ全員に声をかけて配布した。また、日高地域の観光振興パンフレット等を展示、配布した。
来場者コメント
今回2日間とも来場、真剣な表情でいくつものブースを回った20代後半の男性からは、「中学生時代には騎手志望で、馬にかかわる仕事が希望だった。就職して勤め人をしていたが5月で退職し、馬の仕事へ転職することを決めたので、このフェアが転職活動の第一歩。中規模牧場と面談し、ざっくばらんに打ち解けて話し合い、牧場就業に好い印象を持った。フェア後は実際に面談した牧場を訪ね、インターンシップにも参加して就職先を決めたい。」とのコメントがあった。
また、保護者と二人でやはり両日とも来場した高校2年生の女子からは、「中学3年生の時からこのフェアに参加している。『牧場で働こう見学会』」には関東・関西とも参加している。将来、馬にかかわる仕事に就く意思は変わらない。BOKUJOBのイベントを通して知己になった牧場関係者も多いので、各牧場の特色や自分に合っているかなどを検討して就職に役立てたいと思う。」とのコメントがあった。
出展牧場コメント
今回初めて参加した関東地区の牧場からは、「北海道からの出展牧場が多いので、関東地区の就職希望者のニーズとマッチング出来たように感じる。開業3年目の新しい育成牧場で、現役の競走馬を扱うことが主体であることなど自牧場の特長を説明できた。人材を採用したい時期でもあり、まず牧場の存在を知ってもらうことも含めて継続して出展していきたい。」とのコメントがあった。
同じく初参加の北海道の牧場からは「総合牧場として、育成部門の比重が高まっており、扱う馬の頭数も増加しているので、人材が必要となっている。また、従業員の世代交代も進めていく時期にあり、高校生など新卒者を人数よりも人材次第で採用するつもりで出展した。年齢や経歴も様々な参加者と面談することで、採用側として学ぶことが多かった。今後も継続して出展していきたい。」とのコメントがあった。
今回が2回目となる本社が東京拠点で、そのグループ内の競走馬を扱う育成牧場からは、「今年は牧場スタッフを面談者に加えるつもりだったが事情で出来なく残念である。昨年のフェア後、BOKUJOBの求人サイトを通じて応募してきた1名の採用が決まりそうである。今回も10組を超す参加者と面談が出来、今後の採用につなげていきたい。」とのコメントがあった。
8回目となった今回の来場者は合計195名で、内訳は高校生以下34名、大学生・専門学校生他69名、その他の保護者や見学者、学校関係者が92名で、牧場側が希望する高校生以下の参加割合もまずまずだったようだ。
事務局からは「若年層人口が減少傾向にあり有効求人倍率が上昇気味な昨今の日本においては、どの業界も人員不足が深刻です。今回のフェアにおいても参加牧場は増加し、対象参加者数は思うように伸びませんでしたが、参加者の多くが目的に真剣で滞在時間が長くなる傾向にあり活力がありました。こうしたイベントは非常に貴重で今後も継続していく必要がありますので、関連するすべての者で盛り上げていけるよう、ご協力をお願いします。」とのコメントが出された。