2024/02/13
JRA日高育成牧場です。
2023/12/13
12月に入り、浦河では最低気温が氷点下となる日が散見されるようになりましたが、未だに降雪はほとんど見られていません。例年よりも寒さは厳しくないようにも感じられますが、年末に向けて、厳冬期へのカウントダウンが始まるのでしょう。
写真1.冬を迎え、馬服を装着して放牧を行っている当歳馬の群れ(左)
氷点下となった朝に凍った口や鼻の周辺のヒゲ(右)
さて、今回は過去のブログでも触れました「日高育成牧場」で取り組んでいる「乗用馬生産を目的とした受精卵移植」のその後について綴ってみたいと思います。
【過去のブログ】
「受精卵移植」は、「ドナー」と呼ばれる産駒を得たい繁殖牝馬(受精卵提供馬)を交配し、得られた受精卵(胚)を子宮から体外に回収して、「レシピエント」と呼ばれる代理母(出産および育児を担当する牝馬)に移植し、出産させるというものです(図1)。
図1 受精卵(胚)移植による乗用馬生産の概要図
今回、受精卵移植の「ドナー」として選ばれたのは、2019年4月にアイルランドで開催された総合馬術競技「CCI4*-S Ballindenisk」に優勝した16歳のオランダ温血種(KWPN)の「ユートピア号」でした。昨年9月末に「ユートピア号」から2個の受精卵を無事に回収しました(写真2)。そして、この2個の受精卵を「レシピエント」に移植して、無事に受胎を確認しましたので、あとは2頭の「二卵生双生子」の出産を待つのみという状況でした。
写真2 回収された2個の受精卵
そして、本年9月と10月に無事に「二卵生双生子」の2頭の兄弟が生まれました。「双子の兄弟」ということから、誕生する子馬同士が似ていることを期待しましたが、期待に反して、毛色も顔の白斑も全く異なっていました(写真3)。
写真3 「受精卵移植」で誕生した「二卵生双生子」の兄(左)と弟(右)の出産時
写真4 誕生から約1か月後の兄(左)と弟(右)とそれぞれの代理母
10月末からは兄弟は同じ放牧地で過ごし始め(写真4、5)、最初の頃こそ、それぞれの代理母から離れませんでしたが、現在では仲良く戯れています。
写真5 毛色と顔の白斑は全く異なっていますが、性格は少し似ている気がする双子の兄弟