2024/01/10
JRA日高育成牧場です。
2024/02/13
本年は例年と比較すると気温も高く、雪も少ないように思える浦河です。2月に入っても、晴天の日の日中は、5度近くまで上昇し、早くも春の気配を感じることができます。
写真1 今年は放牧地も根雪になることなく、春を迎えることになりそうです
さて、今回は過去のブログでも触れました「日高育成牧場」で取り組んでいる「乗用馬生産を目的とした受精卵移植」で誕生した2頭の「二卵生双生子」の現在の様子について綴ってみたいと思います。
写真2 誕生から約1か月後の兄(左)と弟(右)とそれぞれの代理母
前回のブログ
https://bokujob.com/blog/article/2023/jra-103.html
「二卵生」とはいえ「双子の兄弟」ということから、誕生する子馬同士が似ていることを期待しましたが、期待に反して、毛色も顔の白斑も全く異なっていましたことはお伝えしましたが(写真2)、彼らは約5カ月齢にまで成長しました。
本来であれば、そろそろ離乳を迎える時期ですが、厳冬期である現在の放牧地には、青草も繁茂しておらず、離乳させるには条件が良くないことから、春を迎えてから離乳させる予定です。そのため、現在も母子は常に一緒に過ごしています。
日高育成牧場には、母子が共に過ごすための通常よりも広い馬房があるのですが、その馬房は間もなく出産を迎えるサラブレッド繁殖牝馬が使用しているため、この2組の母子は、通常の母子にとっては小さな馬房で過ごさざるを得ない状況です。
そのため、少しでも快適に過ごしてもらおうと、馬房前の廊下のスペースを2頭の子馬の「共有スペース」となるような「くぐり戸飼育」という方法を実施しました。
図1 および写真3 「くぐり戸飼育」の馬房前面:母馬は「馬栓棒」をくぐることができないため、子馬だけが廊下に出ることができる
つまり、図1および写真3のように、馬房と廊下の境界として存在している「馬栓棒(ませんぼう)」を1本のみ設置し、さらに、その高さを「子馬のみ」がくぐることができる高さに調整しました。これにより、図2および写真4のようにそれぞれの馬房は母子のみのスペースとなる一方で、廊下は2頭の子馬の共有スペースとなります。
図2 「くぐり戸飼育」の馬房平面図:母馬は子馬のみが廊下に出ることができるため、廊下は2頭の子馬の共有スペースとなる
離乳後には2頭で過ごす予定の子馬同士が、このように共有スペースで過ごすことができるため、離乳もスムーズに行えることが期待されます。
「くぐり戸飼育」による共有スペースの様子
写真4 「くぐり戸飼育」により、共有スペースで一緒に過ごす「受精卵移植」で誕生した2頭の「二卵生双生子」(兄:左、弟:右)