仕事を始めた頃は馬の力の強さに苦労しましたが、
女性でも経験を積めば技術でカバーできるようになります。
生産担当 宮本 菜摘さん
北海道士幌高等学校農業科卒業
ハクレイファーム庫富分場(日高町)勤務
ハクレイファームは2017年設立の新冠町に本場がある生産牧場で、繁殖牝馬は約25頭繋養しています。仔馬が産まれてからひと月ほどで私が働く庫富分場に親仔で移動してきて、おおよそ1歳の春頃までを管理しています。1日の仕事は午前7時から始まって、今(9月下旬)は夜間放牧を行っているのでまずは集牧を行います。そして馬の手入れやチェックを行い、11時に昼休みに入ります。午後は1時30分から始まり、飼い葉を食べさせた後、2時頃に放牧します。そして馬房掃除や飼い葉づくりをして5時に終わります。冬場は日中放牧になって作業の順番は変わりますが働く時間帯は変わりません。種付けのある時期は、時間は少しイレギュラーになりますが、年中ほぼ同じ時間帯で働けます。休みは繁忙期以外は月6日と夏・冬休みがあり、有給休暇もいただけます。ハクレイファームでは5年ほど前から働いていて、今は庫富分場の厩舎長をしています。
十勝地方の出身で家に牛がいるなど動物が身近な環境で育ったのですが、とにかく小さい時から馬が好きで、誕生日にポニーをプレゼントされた事もありました(笑)。中学3年生の時に、馬の仕事に就きたいと真剣に考え始めて図書館にあった職業図鑑で馬の仕事を調べました。ただ、調教師・騎手・厩務員しか載っていなくて、どれもなれないと思ったのですが、高校は馬のいる高校を選ぼうと思って、サラブレッドではないですが馬がいる士幌高校を選びました。そして担任の先生に牧場の仕事を紹介していただきました。
生産馬がレースで勝つことが一番嬉しいです。あとは、誕生して間もなくから1歳の春までを見ることになるので健康に次のステージへ送り出せた時ですね。仔馬の時から触って馴致できるのが楽しくて、離乳するまでの間に人間との関係の下地を作っておいて、離乳して親が離れてから更に馬と人の関係を築いていけるのは、この仕事の醍醐味だと思います。
親仔と1歳がいるので管理は大変です。馬の変化を見逃すと大変なことになってしまうので、注意深く見るようにしています。あと仕事を始めた当初は馬の力の強さに苦労しました。ただ力では勝てませんが、女性でも馬を自由にさせ過ぎないように技術でカバーできるようになります。馬が何かをしようとするときは動きが少し違うので、経験を積めば技術で押さえられるようになり、基礎的な体力も自然とついていきます。
やはり馬の変化にいち早く気付く事ですね。怪我もそうですし体調も普段と何が違うか、よく観察するようにしています。新しく入ってきた人にもそこは意識してほしくて、馬が怪我をしていた時、まずはその子にチェックさせて報告してくるか待ち、気づかなかった時は指摘します。自分で気づけるようになることが大事だと思います。
目標はこの牧場から重賞馬を出すことです。ハクレイファームに来て手をかけた馬たちが、ちょうど競馬場で走り始めていますし、全頭触っているのでその仔たちの中から重賞馬が出てくれたら嬉しいですね。
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