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ビッグレッドファーム/蛯名聡マネージャー


ビッグレッドファーム/蛯名聡マネージャー

コンピューター関係の仕事から育成牧場へ転職。やれるところまで頑張ろうという思いから気がつけば14年。今はマネージャーとして会社に貢献しようと努力しています。

蛯名さんのキャリアステップ
  • 1996年 / ビッグレッドファーム入社(24歳)
  • 1997年 / マネージャー就任(25歳)

一競馬ファンから牧場へ

私は高校卒業後、専門学校を経てコンピューター関係の仕事をしていましたが、24歳のときに、馬に関してはまったくの未経験でビッグレッドファームに入社しました。

それまでの私は、とにかく競馬が好きで、ひたむきに走る競走馬をすごく綺麗だと感じるひとりの競馬ファンでした。
毎週のように競馬場や場外馬券売場で競馬を楽しんでいましたが、先の会社を退職することになり、次に何をしようかと考えたとき、この業界で仕事がしたいという気持ちが強くなって、後先をあまり考えずにこの世界に飛び込みました。

履歴書を出し、運良く入社することができたのですが、実は、私は体力に自信がありませんでした。何しろ、高校卒業後、約6年間もの間運動らしい運動はせず、馬にもまたがったこともなかったからです。
そして、何よりも、実は私は動物があまり好きではなかったんです。だから、最初に心配したのは、馬に近づけるだろうか、ということでした。

最初は、やはり馬のいる馬房に入るのが怖かったです。それでも、良い先輩に恵まれて、少しづつ慣れていきました。
さいわい、ビッグレッドファームは仕事が終わってから自由に練習できる環境でしたので、入社4ヶ月後くらいから乗馬の練習をはじめ、練習を始めてから1ヵ月後には、なんとか坂路コースに入れるレベルにまでなりました。
こういうと、ビッグレッドファームってレベルが低いと思われるかもしれませんが、坂路コースを利用した調教であれば、平坦のトラックコースに比べると比較的体力を必要とせず、馬にも人にも安全に調教を付ける事が可能なのです。

最初の頃は長く務まらないのではないかという思いもありましたし、馬も怖かったです。
それでも続けてこれたのは、怖さよりも、この仕事を続けていきたいという気持ちが上回ったからかもしれません。
そうやって、少しづつ、仕事に対する気持ちや体力が備わっていったのだと思います。

牧場での仕事環境

それから、次に不安だったのは待遇面です。
現在、ビッグレッドファームでは朝の5時30分から17時30分までが勤務時間です。休憩時間が3時間30分含まれているとはいえ、拘束時間は12時間と長いです。そして、正直にいえば、前の会社にいたときよりも給料の額面は減りました。

しかし、多くの牧場と同じようにビッグレッドファームは敷地内に住宅や独身寮を構えています。つまり、通勤時間がほとんどないのです。
以前、私が東京で働いていた会社の勤務時間は9時から17時まででしたが、通勤に片道1時間30分かかっていました。自宅を出るのは7時前、帰宅は早くても19時過ぎ。通勤時間も拘束時間と考えるなら、同じ時間です。
ましてや、残業が無い日が珍しかった当時と比べると、ビッグレッドファームでの仕事時間が長いと感じたことはありません。
また、給料に関して言えば、手取りの額面は少なくなりましたが、牧場の住宅や寮を利用すれば、住むところは一般に借りるよりも安く借りることができます。
食事に関しても場内に食堂を設けているところが多く、弁当を買って食べるよりも安く済ませることができます。自由に使えるお金という基準で考えるなら、前の会社に勤めていた時よりも増えました。人並みの貯金も可能でした。

私の場合は、せっかく好きな業界に入れたのだから、やれるところまで頑張ろうと思い、気がつけば14年の月日が経っていました。今では馬のいない生活は考えられませんし、馬に乗ることもどちらかと言えば好きです。

私どもビッグレッドファームのような育成場は競馬サークルにおいては表舞台でスポットのあたる場所ではありませんが、育成場が無ければ今の競馬は成り立たなくなっています。
結果として我々の担っている業務は無駄なことではなく、馬主さん、厩舎関係者、ファンの方々へ競馬を提供するという意味で役に立っているのです。とてもやり甲斐を感じる仕事です。

私は現在マネージメントを任されるまでの立場で仕事をさせていただいておりますが、私自身、運が良かったと思います。
ただ、自分なりに一生懸命、会社へ貢献しようと努力しておりますし、マネージャーとは言え雇われの身ですから会社に必要とされる人材で有り続ける為に必死です。

最後に皆様に伝えておきたいことは、単に牧場で働きたいというだけでは、長くは続かないと思います。また、お金持ちになりたければ他の仕事の方が良いでしょう。他業種と比べても待遇は良いなどと美化するつもりもありません。
ただ、「馬が好き」もしくは「競馬が好き」であるならば、決して悪い待遇でも無いと思います。
この辺りは色々な視点で、自分自身の価値観で判断されては如何でしょうか。

この業界は「未経験者でも採用の可能性は大いにある」「騎乗経験が無かったにも関わらず騎乗者として頑張っている人材は沢山いる」「体力に自信のない人でも普段の作業を一生懸命取り組むことで、自然と必要な最低限の体力は付くもの」ということもまた事実なのです。
「馬が好きか」もしくは「競馬が好き」で、この仕事に興味があるならば、是非アクションを起こしてみてください。