生産牧場で働こう!
新しい命を育む、生産牧場
速く走ることを目的に生まれるサラブレッド。その血統の歴史は300年以上受け継がれています。
生産牧場は、サラブレッドの血統の根幹となる「繁殖」を中心に行う牧場です。
母馬となる牝馬を飼養管理し、種付け、妊娠、出産を経て、生まれた子馬が離乳するまで愛情を持って育て、次の育成牧場へと旅立たせる役割を担います。
生産牧場の1年
冬 Winter
冬~春 出産前の母馬の管理
母馬の乳房の状態や漏乳などの分娩兆候をよく観察して出産に備えます。
難産を予防するために、分娩の1ヶ月ほど前からウォーキングマシンなどで運動不足を解消したり、分娩の直前には陣痛症状・破水が見られないかしっかりと監視を続けます。
春 Spring
春~夏 出産後の子馬の管理
生後しばらくは健康状態をよく観察して、何かあればすぐに獣医師を呼ぶなどの対応をします。
子馬の成長には吸乳、睡眠、自由運動の3つが重要であり、ストレスや体調などにも注意をしながら、成長を促すための放牧と馬房内休息を日々実施します。
夏 Summer
牧草の収穫(草地管理)
冬期の飼料として不可欠となる乾牧草の収穫は、牧場にとって重要な仕事です。刈り取りから乾燥・収穫までに連続して3、4日間の晴天が必要なため、天気のチェックが欠かせません。また、掃除や草刈などの放牧地の管理のほか、土壌の改良や草種の選定などにも気を配ります。
秋 Autumn
夏~秋 子馬のしつけ(引き馬)[0歳~]
放牧・集牧の際などの引き馬は、「人馬の信頼関係」や「人が馬のリーダーとなること」を教える有効な手段です。人の指示に従って歩くことと、子馬自身のバランスで歩くことの2点をしっかりと教えることが、1歳秋からのスムーズな騎乗馴致につながります。
夏~秋 セリ市場への上場[1歳]
馬主(オーナー)が決まっていない1歳馬は夏から秋にかけて実施される1歳市場に上場し、高評価(高額取引)を目指すのが一般的です。
中でも発育が良く順調に成長した注目馬の場合、セレクションセールなどの選抜市場を目指します。
ある一日のスケジュール
6:00
集牧(1歳)
夜間放牧をしている1歳馬を馬房に入れることから1日が始まります。
馬の息遣いや歩様など異常がないかチェックし、いつもと違うところがあったらすぐに報告です。
7:00
放牧(当歳と母馬)
今日担当する馬への指示や相談などの軽いミーティングの後は、まだ夜間放牧をする体力のついていない当歳馬を母馬と一緒に放牧地へと導きます。
8:00
馬体のチェック
夜間放牧に出していた馬の体温を測り、痛いところがないか、ケガをしていないか、体全体に触れてチェックします。
9:00
馬体の手入れ
放牧中に寝転んで泥などがついているので、体全体をきれいに拭いてあげます。
この作業は、人間に触れられることを嫌がらないようにするための馴致も兼ねています。
10:00
馬房の掃除
放牧に出た馬の排泄物や汚れた寝ワラを取り除き、馬房を清潔に掃除します。
掃除後は新しい寝ワラを作り補充します。
種付け 当番制
種付けは当番制。種馬場には母馬と一緒に子馬も馬を運ぶ車(馬運車)で連れて行きます。種付けは、子馬に馬運車に乗ることや母馬から離れて我慢することなどを教える良い機会でもあります。
12:00
昼休み
14:00
セリ上場馬の馴致
正しい姿勢で立つことやまっすぐ歩くことは、かんたんなようで実は大変です。
馬とのコミュニケーションをとるために引き運動を行いながら、歩くことでしか鍛えられない筋肉もつけていきます。
15:30
集牧(当歳と母馬)と放牧(1歳)
放牧から帰ってきた馬の体のチェックや手入れ、そして夜間放牧を行う馬の馬房の掃除などを終え、17時頃に一通りの仕事が終了します。