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牧場で働くとは

想いにこたえる、馬をつくる。

サラブレッドは、生まれたときから競走馬と呼ばれるわけではありません。
日々の厳しいトレーニングで鍛え上げることで、サラブレッドは競走馬として成長していくのです。
レースでは力強く駈け抜ける馬たちも、実際は繊細な生き物なので、その飼養管理には細心の注意が必要です。
生産牧場、育成牧場では、深い愛情と強い責任感を持って、競走馬をつくり上げていきます。
こうして成長した競走馬には、馬主や調教師、騎手、調教助手、廐務員、装蹄師、獣医師など、多くの人の夢が託されます。
そんな人びとの想いにこたえるような馬をつくることが、生産・育成のプロフェッショナルとしての私たちの使命です。
牧場の仕事は、かんたんなものではありません。ときにはつらいこともあるかもしれません。
うまくいかず、壁にぶつかることもあるかもしれません。
でも、牧場には同じ夢を見る仲間がいます。ともに高め合える、ライバルがいます。
馬を愛する人たちが志をひとつにして、今日も、競走馬という命と向き合っているのです。

競走馬をめぐる、人びとのつながり

牧場で働くということは、競馬に関わるコミュニティの一員となることです。1頭のサラブレッドに夢を託す多くの人たちと、その関係性を、みなさんが働くかもしれない生産・育成牧場を中心にご紹介します。

生産から育成までを一貫して行う「総合牧場」もあります。

「生産牧場」サラブレットの血統の根幹となる「繁殖」を中心に行う牧場、「育成牧場」サラブレットを競走馬とするために訓練し、成長させるための牧場、「馬主」競走馬の所有者、「調教師」馬主から預かった馬を管理・調教する、「レース(競馬場)」 生産牧場と馬主が相互に販売・購入、育成牧場から馬主へ預託、育成牧場と調教師が相互に調教・調整、馬主から生産牧場と調教師へ預託、それぞれがレース(競馬場)へ出走させ、レース(競馬場)からは賞金を提供する

生産牧場

日本には約850戸の生産牧場があり、そのうち約90%以上が北海道に集中しています。また、生産頭数についても北海道が全体の約97%以上を占めています。牧場の規模は、母馬の所有頭数1頭から200頭以上までとさまざまで、その経営形態も少人数の家族経営や従業員を多数雇用する企業経営など多岐にわたります。

生産牧場の主な収入
  • 1.
    牧場で所有する母馬から生産した「子馬の売却益」
  • 2.
    馬主の所有する母馬とその子馬を預かることで得る「預託料」

育成牧場

馬主から預かった馬の調教が主な仕事です。育成牧場は、「人が乗れるように訓練する騎乗馴致や基礎体力をつける初期調教を行う牧場」と現役競走馬の「レース出走に向けた調教や調整を行う牧場」に分かれ、前者が主に北海道、後者はJRAトレーニングセンターのある茨城県美浦村と滋賀県栗東市近隣に多く存在しています。

育成牧場の主な収入
  • 1.
    馬主の所有する競走馬を預かることで得る「預託料」
  • 2.
    調教によって付加価値を付けた「牧場で所有する育成馬の売却益」

馬主

競走馬の所有者である馬主は、JRAに約2,400名、地方競馬に約4,500名が登録されています。自ら生産・育成牧場を経営し、繁殖から育成、調教、出走まで競走馬を一貫して管理する馬主はオーナーブリーダーと呼ばれます。

調教師

廐舎を運営(調教助手や廐務員を雇用)して、馬主から預かった馬を管理・調教し、レースに出走させます。調教師は免許制で、JRAでは約190人、地方競馬では約500人が交付されています。

レース(競馬場)

JRAには札幌・函館・福島・新潟・中山・東京・中京・京都・阪神・小倉の10ヶ所の競馬場があり、地方競馬には全国15ヶ所の競馬場があります。JRAのレースに勝利すると、その1着賞金は未勝利戦で約400~500万円、日本ダービー、ジャパンカップ、有馬記念などのGI競走で約2~3億円となります。世界一の賞金額(当時)を誇るドバイワールドカップでは、2011年に日本馬のヴィクトワールピサが優勝し、1着賞金600 万ドル(日本円で約4億8000万円)を獲得しました。

1頭のサラブレッドが競走場になるまで

サラブレッドは誕生してから競走馬としてデビューするまで、多くの人の熱い想いに支えられています。
母馬のもとを離れ、仲間の子馬と馬社会のルールを学び、人びとの愛情と期待を一身に受けながら、競走馬として成長していくのです。

生産牧場

当歳(0歳) 誕生~授乳期

初期育成

サラブレッドの出産は1月から始まり、3~4月にピークを迎えます。
馬の妊娠期間は約330日で、年に1回1頭を出産します。
子馬は生まれて1時間もすると自分で立ち上がり、2時間後にはお乳を吸います。
2~3日もすると母馬と一緒に放牧できるようになり、6ヶ月ほどで離乳、母馬との別れを迎えます。
子馬は子馬同士の社会へと、母馬は翌年のお産の準備へと入るのです。

生産~育成

当歳(0歳)~1歳 教育期

中期育成

当歳の11月頃を過ぎると、放牧地での運動によって子馬は基礎体力をつけていきます。
この時期には、同じ放牧地の仲間たちと馬社会のルールや人とのコミュニケーションを学びます。
馬は生まれた年を当歳(0歳)と数え、以後毎年1月1日に年齢を加えていきます。
1歳の春頃から馬の体力は急速に発達し、秋になるといよいよ人を乗せる訓練が始まります。

育成牧場

1歳 馴致(じゅんち)期

騎乗馴致

1歳の秋になると馬に人を乗せるための騎乗馴致が行われます。
まずは装着する馬具に馴れさせる訓練を、馬が納得するまで行います。
馬具に馴れると人が実際にまたがる騎乗馴致に移るのですが、馬にとって人が背中に乗るというのは自然な状態ではありません。
人を乗せることに少しずつ馴れさせ、騎乗者を背にして歩き、駈歩(かけあし)にいたるまでの訓練を、数週間かけてゆっくり行います。

1歳~2歳 基礎体力養成

基礎体力養成期

騎乗馴致された馬は、1歳末から2歳にかけて、駈歩などによる騎乗運動で負荷を与えます。
この時期はデビューに向けて本格的な調教のための準備期に当たり、騎乗者を乗せて走ることによって、馬の筋肉や骨などの発達を促します。
また、騎乗者の制御に従う訓練を行うことも、この時期の重要な目標の一つとなります。

育成~トレセン・競馬場

2歳~ 能力向上期

調教

馬が騎乗者の体重の負担にも馴れ、騎乗者の意思通りに動くようになると、実際のレースの出走時期に合わせて持久力(スタミナ)づくりが始まります。
こうした調教が開始される時期は、その時の馬の状態や調教担当者の考え方にも左右されますが、順調に成長すると2歳の春には本格的な調教に移っていきます。

トレセン・競馬場

2歳~ 能力判定

仕上げ

レースに必要なスタミナがつくと、スピードを養成するための追い切り調教が行われるようになります。
追い切りとは実戦に近い調教のことで、調教タイムや馬の動きから、その馬がレースに出走できる体力があるかどうかの判定ができます。
馬は生まれてから以上のような過程を経て、競走馬となり競馬場でレースに出走することになります。