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装蹄師/倉持 達矢さん

さまざまな馬の蹄を触れるのは馬産地にいるからこそ。日々、動きがある今の仕事が楽しいです。

その他 倉持 達矢さん

日本装削蹄協会装蹄教育センター卒業
装蹄師(日高町全般)勤務

質問1 現在の仕事内容

私は、馬の装蹄(=蹄に蹄鉄をつける)、および削蹄(=蹄を削り、整える)を行う装蹄師の仕事をしています。
僕の場合は教育センターで1年間の研修を受けた後、美浦トレセンで2年ほど修行をさせていただいて、3年前に北海道へ来ました。
現在は北海道新冠町の開業装蹄師と共に各牧場を回る日々。
ここでは現役の競走馬をはじめ、当歳馬やデビュー前の若駒、繁殖牝馬などさまざまな蹄に触れられるので、とても勉強になります。
現在は1頭の馬に対して親方と役割分担しながら作業を行っています。装蹄の主な行程としては、
1.蹄鉄を外す→2.専用の刃物で蹄を削る→3.蹄鉄を蹄のかたちに合わせる→4.蹄鉄を釘で打つ→5.釘をしめる→6.歩様を確認する
という流れ。これで1頭分の装蹄が終了します。
蹄の状態や蹄鉄の細工などによって所要時間はまちまちですが、だいたい1頭あたり30分~40分ほど。
時期によって作業頭数は大きく変動しますが、もっとも忙しい時だと1日15、6頭の装蹄を行うこともあります。
また、削蹄だけなら所要時間は5分ほど。削蹄だけの馬も含めると、繁忙期には1日50頭を超えることもありますね。
研修を終えたばかりの頃と比べれば任せてもらえる作業工程は格段に増えていますが、そうはいってもまだまだ修行中の身。
1日でも早く、1頭の全行程を任せてもらえるようになりたいです。

質問2 牧場就業を選んだ理由

私は茨城県の出身で、同級生の父親が美浦トレーニングセンターで装蹄師をしていました。そんな縁で、友人からいろいろと話を聞いているうちに興味をもちました。
高校3年生のとき実際にトレセンで仕事を見せていただいて、「かっこいいな」、「こういう仕事があるのか」と。
僕は美浦トレセンがある茨城県の出身なのですが、もともと競馬サークルとは無縁。その頃まで装蹄師という仕事自体、まったく知らなかったのです。
ただ、以前から体を使った仕事に就きたいと考えていたので、やりがいも感じられる装蹄師という職業は魅力的でした。
これだ、決断して宇都宮にある装蹄教育センターに願書を送って、高校卒業後に入所。
美浦トレセン勤務を経て、3年前からこちらの親方の元で修行させていただいています。

質問3 仕事で一番嬉しかった事、または醍醐味

装蹄や削蹄で関わった馬がレースで勝った時はやっぱり嬉しいですね。
脚元や蹄に問題があった馬の場合などはとくによく覚えていて、無事に走って、勝ってくれた時には何ともいえない喜びがあります。
ここ馬産地で働いていると、生まれ時からずっと見てきた馬も少なくないですから、思い入れが強くなりますよ。

質問4 仕事で大変だった事、または失敗エピソード

失敗は数え切れないほどありますね(笑)。ただ、失敗をしないとわからない面もあるので、日々勉強です。
これまでで、もっとも落ち込んだというか、反省したのは昨年末に、右手の親指をケガしてしまったこと。少し前から違和感はあったのに、大丈夫だろうと自己判断して、悪化させてしまいました。
結果的に入院して手術をする事態になり、仕事も2ヵ月ぐらい休むことに。自己管理が甘かったとしか言いようがありません。
開業装蹄師という立場だったら仕事にならなくて牧場にも迷惑をかけてしまうわけですから、体調管理の大切さを痛感しました。

質問5 仕事をする上で心がけている事

昨年末にケガをしたこともあって、体調面にはとくに気をつけるようにしています。
基本的に肉体労働なのでどうしても体に負担はかかります。だからこそ、自分の体の状態を把握する、違和感を放っておかないことが大事ですね。
作業のうえでは、馬に嫌な印象を与えないように心がけています。
中には脚を上げること自体がキツイ状況の馬もいますから、そうしたケースではとくに気を遣いますね。
無理矢理にやるのではなく、馬の性格に合わせて、声をかけながら作業をします。
初めて蹄を削る当歳馬に触る場合も、同様に。蹄や脚元を触れて嫌な思いをすると、ずっと引きずることになりかねないので、要注意です。

質問6 仕事上での今後の夢、または目標

競走馬、乗用馬、当歳馬、1歳馬、繁殖牝馬とさまざまな馬の蹄を触れるのは馬産地にいるからこそ。日々、動きがある今の仕事が楽しいです。
いずれは自分で開業して、多くの方に信頼される装蹄師になりたいですね。
海外の新しい技術や知識にも興味はありますが、そうしたものは基本をしっかり身につけてから。
この仕事に到達点はないと思っていますし、まだまだ先は長いです。

私のoffStyle

作業が入らない日となると、札幌に遊びに行ったり、少し遠くへドライブしたりします。

休日の過ごし方
厳密に定休日があるわけではないですが、作業が入らない日となると、自然と牧場の休みと重なる日曜日になります。そういう時は札幌に遊びに行ったり、少し遠くへドライブしたり。海が近いのでたまには釣りもしますよ。