アロースタッドに来たらあのスタッフたちがいるから安心できる、と言ってもらえるようになりたいです。
種牡馬担当 木本 祥平さん
静内農業高校卒業
アロースタッド(新ひだか町)勤務
私が働くアロースタッドは、約30頭の種牡馬を繋養しています。
今(9月中旬)は種付けシーズンではないので、午前5時から放牧して、厩舎作業や雑務を行い10時に昼休憩に入ります。午後は1時30分に集牧し、馬の手入れを行います。そして15時から16時まで一般見学があるので、その対応や休憩をとって終業となります。これから日が短くなってくるので始業時間も30分単位で遅くなっていき、冬場は6時30分始業の時期もあります。そして翌年2月中旬から種付けシーズンに入ります。シーズンに入ると午前6時くらいに放牧し、種付け前に集牧。種付けは1日に午前9時、午後1時、5時の3回行い、各回10頭ほどで1時間30分くらいかかります。そして午後7時前に1日の作業が終わります。シーズン中は休みも月3日とかなり忙しくなります。5月のゴールデンウィークが明けると種付け頭数も落ち着いてきて6月にはシーズンが終わります。シーズンが終わると休日は月8日、夏休みや年末年始の休みも増えるので、牧場の職種の中では、メリハリのある勤務体制だと思います。
出身が大阪府枚方市で、親に連れられて京都競馬場によく行っていたのですが、そこで騎手のカッコ良さに憧れたのが最初です。ただ体格の面でクリアできなくて、厩務員という仕事を知ったところ、ちょうどテレビで静内農業高校の特集を見て、馬を学べる高校があることを知り、馬の高校に通って厩務員を目指そうと思いました。高校から親元を離れたわけですが、やはり最初のゴールデンウィークでホームシックになりました。冬も寒過ぎて、無理だなと思ったこともありましたが、何とか3年間頑張りました。ただ北海道の寒さは当時の自分には厳しく、厩務員になるには牧場での就業経験も必要ですから、卒業後はまず本州の育成場を探しました。そこでBOKUJOBのサイトを通じて就職先を見つけることができました。そして、JRAの競馬学校厩務員課程を経て厩務員になりました。その後、退職することになり、一般職に就いていたのですが、北海道で牧場の仕事をしている同級生にアロースタッドの求人を薦められて馬の仕事に戻ってきました。体力的に育成場は難しいと思いつつ、馬の仕事にはいずれ戻りたいと考えていたので、良い仕事に出会えたと思います。
シーズン中はとにかく忙しい毎日を過ごしますが、2年目後半から種牡馬を繁殖牝馬に乗せるようになり、その難しさや楽しさが分かるようになってきました。今の担当は種牡馬1年生なので大変なこともありますが、自分が休みの日に先輩に替わっていただいた後、先輩から「すごく良くなっていたよ。」と言っていただいた時は嬉しかったですね。種牡馬は名の知れた馬ばかりなのでプレッシャーはありますが、そういった馬を扱えるのはスタリオンならではの醍醐味だと思います。自分で次の世代をつくっているという実感は何ものにも代えがたいですね。
担当馬に何かあると付きっきりになりますし、種付けシーズン後半になると、どうしても種付けに時間がかかる馬が出てくるので、就業時間が伸びてしまうのは大変ですね。
また、今年種付けの時に足を蹴られて1週間入院した時期があって、その時に担当していた馬が、自分が戻ってきた後に病気で亡くなったことがありました。怪我で担当を外れてしまっていたのですが、彼の変化に気付いてあげられなかったことを今でも後悔しています。
日々、馬をもっと注意深く見ないと駄目だと、その時すごく思いました。
種付け時は、種牡馬を落ち着かせて、真っすぐゆっくり繁殖牝馬に近づけることを意識しています。繁殖牝馬の死角から近づいたり、驚かすようなことをすると蹴られるリスクも出てくるので、そういったリスクを少しでも減らすように、普段から馬と信頼関係を築くことを大事にしています。馬によって嫌な事のラインは様々ですから、コミュニケーションをしっかりとって馬の個性を理解するようにしています。
牧場として年々種付け数を更新しているので、この記録更新を続けていけるような馬づくりをしていきたいです。もちろん僕たちだけの力ではないですが、アロースタッドに来たらあのスタッフたちがいるから安心できると言ってもらえるようになりたいです。実際、生産者の方に「アロースタッドは種付け上手だよね。」と言っていただけることもあり、そう言われ続けるようにしたいです。
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