26歳の時に念願だった馬の世界に飛び込みました。
生産担当 板宮 未起さん
聖和学園高等学校
白井牧場(日高町)勤務
私が働いている(株)白井牧場は、競走馬の生産から育成まで一貫して行っている牧場です。
2000年の桜花賞馬チアズグレイス、1998年のフェブラリーSを勝ったグルメフロンティアなどを送り出している老舗牧場で、私は繁殖部門を担当し、毎日約40頭いる繁殖牝馬のお世話をしています。
1日のスケジュールは季節によって異なりますが、お産シーズンである現在は朝飼葉を付けて放牧に出した後馬房の清掃、14時頃にお産の近い馬たちを集牧して1時間程厩舎周りを引き運動させます。適度な運動をすることが安全なお産に繋がるので大切な作業です。
その後に他の繁殖牝馬たちを集牧して夕飼いを与え、手入れや馬体のチェックをします。
夜は交代でお産当番があり、子供が生まれた馬は発情の具合を調べる直検や種付けとめまぐるしく、1年で1番ハードな時期ですね。
馬に興味を抱いたのは「風のシルフィード」という漫画でした。まだ小学校低学年だったので内容はよく解りませんでしたが、とにかくおもしろくて夢中になって読んでいた記憶があります。
その後どんどん馬にのめり込んで行き、最初に好きになった馬はサイレンススズカでした。仙台に住んでいたので競馬場へ行くのはなかなか難しく、高校卒業後は馬の仕事に就きたいと両親に相談したところ反対されたため、地元仙台で事務やオペレーターの仕事などをしていました。
それでも馬と関わりたい一心で一口馬主を始め、最初に持った馬が白井牧場生産の馬だったんです。北海道へ足を運び、自分の持っている馬に触れさせて貰ってますます思いが強くなりました。
転職するなら今しかない!と決めたその年に東日本大震災に見舞われて、心が折れそうになったこともありましたが、諦めず翌年のBOKUJOBの説明会に参加し、26歳の時に念願だった馬の世界に飛び込みました。
馬は大好きだったけど世話をするのは全く初めてで、馬からも警戒されたりなかなか信用してもらえませんでした。日々お世話して行く中で嫌がって触らせてくれなかった馬が触らせてくれるようになったり、心を開いてくれた瞬間が一番嬉しいですね。
いつもと様子が違うとか、ちょっとした変化に気付けると馬との距離が縮まった気がして楽しさが増します。
仕事というより、北海道に来て大変だったことになっちゃうんですけど、私の地元の仙台は雪はそれなりに降るけどすぐ溶けるんです。
雪の上を歩く事にも馬を引いて歩く事にも慣れてないので、馬に引っ張られて転んでしまうこともしばしば。放馬させまいと必死にすがりついていつも傷だらけでした。
まだ2年目で解らないこともたくさんありますが、基本的なことを疎かにしないよう、しっかり積み重ねていきたいです。
自分の出来る範囲で毎日少しずつでも良くなるように、馬たちが発するサインを見落とさないように心がけています。
繁殖厩舎の仕事は、生まれた馬たち全てを無事に育成厩舎へ送り出すことだと思うので、今年生まれて来る当歳も怪我や病気などせず、元気に育てあげると言うのが目標であり願いですね。
携わった馬が競走馬になり、少しでも良い成績を残せるよう、丈夫で健康な馬づくりを頑張っていきたいと思います。
私のoffStyle
けっこう北海道を満喫しています。