あまり指示を聞かなかった馬が、自分の指示を待って動いたときは嬉しいですね。
生産担当 古川 一樹さん
福島県立岩瀬農業高校・生物生産科卒業
下河辺牧場(日高町)勤務
下河辺牧場は生産から育成・調教までを行う総合牧場で、私は高校を卒業後、1歳馬を扱うイヤリング部門に配属され、約10年間、当歳の離乳後から1歳のトレーニングに行くまでを管理していました。そして2年前に現在の繁殖部門に移動しました。
夏場の今は夜間放牧を行っているので、午前6時30分に集牧して、手入れを行い、飼い葉づくりなどを行います。午後は1時30分に放牧し、寝藁を上げて、その他作業を行い午後4時30分に終業という1日の流れです。冬場は日中放牧になるので、朝に放牧、夕方集牧という流れに変わります。あとは当番制で週に1回、朝4時30分と夜8時に飼い葉を与えに来ます。
そして出産シーズンに入ると、週1回お産当番となり繁殖牝馬が産気づけば厩舎にかけつけます。また月1回は当直スタッフとして厩舎に泊まり込み、繁殖牝馬の状態を夜通しチェックします。また、イヤリング部門の時には無かったことで繁殖牝馬の直腸検査があります。排卵の状態や、種付けしたあとの受胎の状態を確かめるのですが、種付けに対する意識がガラッと変わりました。日々状態が変わりますし、無事に受胎し出産することの重みを感じています。
高校では牛や鶏など、農業・畜産に関することを学んでいました。高校に馬術部があり所属はしていなかったのですが、たまに馬の世話などをさせてもらっていました。というのも、競馬が好きだった父の影響で子供の頃から競馬場によく行っていて、馬が好きだったんです。
そして卒業後の進路を考えているときに、学校に下河辺牧場の求人が来ているのを見つけて、競走馬に触ってみたいと思っていたこともあり応募しました。
面接を受ける時に1日見学をさせていただいて、総合牧場ということもあり色々な世代の馬がいて面白そうだなと思い、入社を決めました。
馬を触りたくてこの仕事に就いたので、馬と上手くコミュニケーションをとれた時は嬉しいですね。人の指示をあまり聞こうとしなかった馬が、放牧する時に自分の指示を待って動いた時など、成長を感じた時は喜びを感じます。また担当した馬が競馬場で走っている姿を見る度に嬉しくなりますし、励みにもなります。
入社してイヤリング部門に配属された当初は、馬を思うように動かすことができなくて苦労しました。あと恥ずかしい話、寝坊をしたりして迷惑をかけたこともありました。でも、そんな自分に対しても先輩たちは見限らずに接してくれて、本当に感謝しかありません。
また、セリに出す馬を担当した時、セリ馴致から当日まで思うように上手くできなかったのは悔しかったです。先輩たちの姿を見てきて自分にもできるだろうと思っていただけに、自分の技術の未熟さを知るきっかけになりました。
馬に嫌われないようにすることです。馬に対しては常に感情的にならないようにしています。
今扱っている当歳馬は、これから色々な人と関わっていくので、皆に可愛がってもらえるように、人間のことが好きでいるような馬に育ってほしいです。
イヤリング部門にいた時は、馬を扱う技術面ばかり意識していましたが、繁殖部門に来てからは、知識面に重きを置くようになりました。繁殖牝馬の管理について、まだまだ知らないことがあると感じましたし、当歳馬はまだ体質がしっかりしていないので、病気や治療に関する知識をもっと身に付けたいと思っています。
私のoffStyle
休みは、出産シーズンは月に4~5日、オフシーズンは6~7日あります。これといった趣味はないのですが、札幌に買い物に出かけたり、あと北海道の広大な道をドライブしたりするのは気持ちいいですね。せっかく北海道にいるので、いつかは道内をドライブで一周してみたいです。