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下河辺牧場/藤春 猛さん

もっとああしよう、こうしようと日々、向上心をもてる仕事だと思います。

育成担当 藤春 猛さん

北海道浦河高等学校卒
下河辺牧場(日高町)勤務

質問1 現在の仕事内容

下河辺牧場は生産から中期育成、馴致・調教まで手掛ける総合牧場で、私はこちらの育成部門で9年前から育成騎乗スタッフとして働いています。
始業は冬なら6時30分頃で、夏なら5時30分~6時頃。職場から車で5分ほどの独身寮で暮らしていて、同僚たちと1台の車に乗り合わせて出勤しています。
到着後は1日の騎乗スケジュールに沿って各馬を放牧、またはウォーキングマシンに入れるなどして、1鞍目の騎乗準備を開始。馬体をチェックして何も問題がなければ鞍をつけて、屋内馬場で乗り運動を行います。
騎乗馬によってペースやメニューは違いますが、日によってはその後に屋内坂路コースで1本。春になって1周1400メートルのダートコースが使えるようになったら、そちらでの調教も増えてきます。
1鞍目が終わったら騎乗馬を馬房に戻して、ウォーキングマシンに入れていた2鞍目の騎乗馬を馬房へ。そして3鞍目の騎乗馬をウォーキングマシンに入れて、2鞍目の騎乗準備…という流れで、騎乗している間に次の騎乗馬がウォーキングマシンに入っているようにします。
これを繰り返して、午前中に5鞍~7鞍。この間、2鞍目の後に15分間の休憩を挟みます。
午前中の調教が終わったら2時間の昼休憩をとります。 夏場は始業時間が早くなる分、昼休憩が3時間になる。
寮に戻って昼食をとったら自分の部屋で昼寝。午後の仕事に備えてここでしっかりと体を休めることがとても大切です。
昼休憩が終わったら牧場に戻って、馬の手入れと夕飼い、厩舎の掃除。そして夜飼いと翌日の朝飼いの準備をします。日によってお客様がお見えになったり、獣医さんによる馬体チェックなどが入るので、その際は立ち合うこともあります。
厩舎作業を終えて、午後4時50分頃からはスタッフ全員でミーティング。連絡事項を確認したら1日の仕事が終了です。
基本的に夏も冬も午後5時には1日の仕事が終わります。ただし、月に2、3度回ってくる朝飼い当番の日は3時~4時に出勤して全馬房に朝飼いを入れて回ります。
朝飼い当番当日は夜飼い当番でもあるので、仕事を終えて夕食後にもう一度戻って夜飼いを入れて回ります。

質問2 牧場就業を選んだ理由

実家が生産及び育成牧場を営んでいて、幼い頃から馬がいるのが当たり前の生活でした。
小学生の頃から馬に乗るようになって、中学、高校は馬術部に所属。ずっと馬には乗っていましたが、私自身は馬の仕事に就こうとは思っていませんでした。
競走馬の育成に興味を持ったのは高校3年生の時です。うちで預かっていた休養馬に初めて跨らせてもらって、その馬が中央の障害レースで勝ったのです。
携わったのはほんの数週間でしたが、本当に嬉しくて。ほんの数週間の調教でこんな気持ちになるなら、最初から携わったらどれだけ嬉しいだろうって。
競走馬育成の仕事に就こうと思った瞬間でした。

質問3 仕事で一番嬉しかった事、または醍醐味

携わった育成馬がレースで勝つととても嬉しいですが、一番嬉しいのはレース後のジョッキーのコメントで「乗りやすい」とか「くせがなくてレースがしやすい」という言葉があった時です。
無事に競走馬として送り出せたことにホッとしますし、少しは仕事ができたのかなと感じられます。馬は1頭1頭違いますし、毎年多くの競走馬に携わることで自分の経験値を増やしていける仕事。
入社当初はただがむしゃらに乗っていただけという感じでしたが、毎日、多くの馬に触って経験を重ねていく中で、少しずつ視界が開けていくような感覚がありました。
たとえ育成馬がレースで勝ったとしても、それがゴールではなく、もっとああしよう、こうしようと日々、向上心をもてる仕事だと思います。

質問4 仕事で大変だった事、または失敗エピソード

入社当初は自分の技術や経験が足りなくて乗れない馬も多かったですから、それはかなり悩みました。乗馬と競走馬育成は同じ馬に乗るのでも、いろんな面で違いました。
この世界に入って2年後、3年後にはこのくらいは乗れているだろう、と思い描いていたイメージと現実はかなり違いましたから。
これは今でもですが、自分が一度でも乗ったことのある馬がレースで口を割っていたり、折り合いを欠いたりしているのを見ると、自分がもっと上手に乗れていたら違ったのかな、と考えます。
たとえレースで勝ったとしても、自分がもっとうまく乗れていたら1馬身、2馬身離して勝っていたのかもしれないって。
どんなに良い結果だったとしても、満足したらそこで終わりですから、常にそう思うようにしていますね。

質問5 仕事をする上で心がけている事

ここでは毎年80頭以上のサラブレッドに出会えます。その1頭1頭にヒストリーがあって、たとえ同じ血統背景をもっていても、個性や性格はみんな違います。
私にとっては全ての馬が教材であり、先生。数学と違ってハッキリとした答えが出るものではありませんが、経験が増えるにつれて少しずつですが応用も効くようになります。
例えば「こんな馬いたな」とか「このタイプは前にも乗ったことがあるな」とかの場合、過去に良い結果が出ていれば、今度はその地点に最短距離で行くことができるはずです。だからこそ毎日の1鞍、1鞍を大事にしたいですね。

質問6 仕事上での今後の夢、または目標

常に向上心を持って経験を積んで、競走馬がもてる力をすべて出せるように導くことができる、そのために最善を尽くせるホースマンになりたいです。
入社9年目を迎えて下に若い後輩たちも入ってきましたから、今までみたいに自分の技術向上だけを考えるわけにはいきません。技術や知識だけではなく、後輩たちを引っ張る存在になれるように、人間性の部分も磨いていきたいです。

私のoffStyle

Win5で6億円を当てて、馬を売る側から買う側になってみたいですね(笑)

休日の過ごし方
平日と同様、先輩や後輩、友人と遊びに出掛けることがほとんどです。富川門別のインターチェンジがすぐ近くにあるので苫小牧や札幌へも気軽に行けますからね。とくに趣味らしい趣味がないので、休日に寮の部屋にいることはほとんどないですね。でも競馬はいつも携帯などでチェックしていますし、馬券も買います。
プライベートの夢や目標
Win5で6億円を当てて、馬を売る側から買う側になってみたいですね(笑)。ちなみにWin5は時々先輩と共同購入するのですが、これまで3回当たったことがあって、最高額が3万円です…はい。