今はとにかくもっと上達して一流のホースマンに近づきたいです。
育成担当 遠藤 紀哉さん
東北学院高等学校→BTC第35期生
株式会社小国スティーブル(新ひだか町)勤務
小国スティーブルは、これまでにサクセスブロッケン、コパノリッキー、コパノリチャード、コパノキッキング、レッツゴードンキ、テーオーヘリオスなどを輩出している競走馬の馴致・育成を中心に行う牧場で私は育成馬の騎乗を担当しています。
朝は5時に出勤し寝藁上げなどの作業を行ったあと、ウォーキングマシンから出してきた馬に馬装をして、騎乗します。日によって分場と行き来しながら坂路やダート、ウッドチップコースなどで調教を行い、午前中で8鞍程乗ります。
お昼休みは11時半頃からです。一日の楽しみの一つで、パートさんが作ってくれるお昼ご飯をスタッフみんなで食べます。とても美味しいです。地元のイクラやウニが並んだときは驚きました。自炊をほとんどしないので本当に有難いですね。昼食後は牧場敷地内にある社宅で各自昼寝をします。
午後の仕事は14時からで、まだ騎乗馬がいる時は3鞍程乗ります。それ以外は、馬房掃除や馬の手入れをし、馬主様へ送る馬の立ち写真撮影のハンドリングも勉強中です。あとは16時半頃に夕飼をつければ一日の仕事は終了。町の中にある自宅アパートへ帰宅します。
中学2年生の時に競馬好きの友人から影響を受けたのですが、中でもオルフェーブルが初挑戦し2着だった年の凱旋門賞をテレビで見て、競馬への興味が一気に加速しました。父に頼んで福島競馬場へ連れて行ってもらったこともあります。もっと馬のことが知りたくなり、高校一年生からは地元仙台の乗馬クラブへも通わせてもらいました。その中で「馬の仕事」を考えるようになり、高校2年生の時にBOKUJOBが主催する5泊6日の「牧場で働こう体験会」へ参加させてもらいました。現場での体験によりその気持ちは更に確実なものとなり、BOKUJOBで知ったBTC軽種馬育成調教センターが行う「育成調教技術者養成研修」への応募を決めました。大好きな馬のそばで仕事をしたいという私の気持ちを理解していてくれた両親は賛成してくれました。
BTCでの一年間では、技術面だけでなく馬主様から預かった大切な馬を育てることの意味など、たくさんのことを学びました。また、BTC内で研修終了後の就職向けの牧場説明会があり、その際に「厩舎担当の専属スタッフが在籍しているので、厩舎作業は少しあるけれど騎乗スタッフは騎乗の機会が多い」という方針を聞き、私にとって魅力の一つと感じ小国スティーブルに決めました。町に近くて買い物などに困らないのもいいですね。入社して一年半ぐらいになりますが、有難いことに年の近い先輩だけでなくベテランスタッフからも丁寧に教えてもらえますし、大好きな馬に関わることができて充実した毎日です。
育成馬の中で、一歳時の乗り始めの段階から私が多く乗せてもらった馬がいました。幼少時代のケガが原因と思われるのですが、普段からつまずくことが多く、調教でも苦戦しました。スムーズさを欠いた馬なので不安はありましたが、途中から社長の指示で思い切った調教をしていく方針に。すると馬が変化しどんどん良くなっていきました。そしてその馬が、なんと新馬戦を勝ってくれました。新馬戦を勝てるなんてそうないことですし、自分にとって悩み思い入れの深い馬だっただけにとても嬉しかったです。
冬の朝は仕事開始時間帯にまだ陽が昇っていません。特に屋根付き馬場での騎乗は暗いし寒いです(笑)。最初の頃は、真っ暗な走路で馬を速いスピードで走らせることが怖かったですが、今ではすっかり慣れましたね。
馬主様から大切な馬を預けて頂いているので、自分のせいで馬にケガをさせたり悪化させたりしないようにしなければいけません。そのため騎乗時に限らず、常日頃から細かい変化に気をつけて馬に接するようにしています。
また、落ち込んで真面目に考えすぎる傾向にあった私に対し、社長から「上手くいかない時も気負わずに。楽しく仕事をすることが大事」とアドバイスされて救われたことがあり、日々楽しんで仕事ができるように心がけています。
まだ一人前に乗れるレベルとは言えませんが、馬がレースで勝つために自分ができることを考えて調教できるようになりたいですね。将来的にはJRAの厩務員を目指したいと考えていますが、今はとにかくもっと上達して一流のホースマンに近づきたいです。
私のoffStyle
いつか北海道の温泉巡りをしてみたいですね。