2024/02/13
JRA日高育成牧場です。
2022/06/10
6月に入っても最低気温が10度を下回る日が多く、肌寒く感じる浦河でしたが、日中は徐々に暖かく感じる日も増えてきているように感じています。我々にとっては寒く感じますが、放牧地の母子を見ていると、馬たちにとっては一番過ごしやすい季節のように思われます。
〔写真1 早朝の放牧地では母馬の傍らで横たわる子馬の姿が微笑ましく映ります〕
さて、前回のブログにおいて、馬は草食動物の中でも母子間の絆が非常に強く、子馬は常に母馬に寄り添っていることについて触れました。今回は、生後いつごろから子馬同士が遊び始めるのかについて触れたいと思います。
〔写真2 6月に入ってから子馬同士で遊ぶ姿を目にするようになりました〕
日高育成牧場では、過去に「母子間の距離」および「他の子馬間の距離」を測定した調査を実施しています。この調査では、放牧地における「母子間の距離」および「他の子馬間の距離」をGPSによって5秒毎に測定し、1日の平均距離を測定しました。その結果、「母子間の距離」は図1に示すように、生後3週齢以前の時期は「母子間の距離」は約5mであり、子馬はほとんど母馬から離れていないことが明らかとなりました。その後は成長に伴って「母子間の距離」は大きくなっていき、14週齢以降は約15mで変化がなくなることが分かりました。
一方、「他の子馬間の距離」は図2に示すように、「母子間の距離」とは反対に、成長に伴って「他の子馬間の距離」は小さくなっていき、16週齢以降は約30mで変化がなくなることも明らかとなりました。
〔図2 成長に伴う放牧地における「他の子馬間の距離」の変化〕
これらの調査結果から、母馬から子馬を離す「離乳」の時期については、「母子間の距離」に変化が安定する18週齢以降に実施したほうが、子馬の精神的なストレスはより少ないことが想像できます。この時期から、他の子馬と遊ぶ機会や他の子馬との関係性がある程度構築されはじめ、馬社会の一員になっていくといえるのかもしれません。