2024/02/13
JRA日高育成牧場です。
2018/03/07
出産
ツララも元気に育つ厳しい冬が続いています・・・。3月に入り早々嵐が来るなど、まだ春は遠いのかなと思うこのごろです。
2月、3月はじめに、3頭の子馬が誕生した日高育成牧場。メスが3頭。体重は45~50kg。まあまあ順調な滑り出しと言っていいでしょうか・・・。書くまでもありませんが、生まれた直後は、必要な検査や身体測定などを行ってデータを取り、最初は室内の小パドックに放して様子を見ることにしています。現在は1組が外の小パドックに、もう2組は室内小パドックに放牧に出しています。最初はやはり体型が気になるもの・・・。首の長さ太さ、胴の長さ、肢の長さ曲がり具合などなど、獣医師、装蹄師、馬取扱いそれぞれの視点で、いろいろな意見を交換する・・・そんな光景が見られるようになって来ました。
今後も3月4月と順調に元気な子馬が生まれてきてほしいものです。
JRAの定期人事異動は3月1日。今年も6人の仲間が加わりました。今回は初めて北海道で執務する人ばかりのようです。いろいろ不安も多いと思いますが、みんな若いので、大雪も寒さも、パワーで吹き飛ばして頑張っ てくれると思います。
大自然いっぱいの浦河は、見るもの聞くもの食べるもの、大都会から来た人にとっては、新鮮かつわからないことばかりかもしれません。のどかな田舎ですから、お店が遠いだの、遊ぶところがないだの、不便なことが多いと感じるかもしれませんが、浦河でしか体験できないこと、浦河ならではの楽しみもたくさんあるはずです。職場、地域を問わず、いろいろな人と交流し、面白いこと、ためになることを見つけることも大切です。仕事は仕事、遊びは遊び。このブログの読者で、これから北海道に来る予定の皆さんも、それぞれのライフワークを見つけて自然を楽しんでくれたら・・・と思います。
右利き左利き
「この馬、中山競馬場は得意じゃないけど、東京競馬場なら走るんじゃないかなあ・・・」
そんな競馬ファンの声を聞くことがあります。いろいろな意味を含んでの会話の中での台詞と考えられますが、おそらく「右回りが得意か、左回りが得意か?」という話題をしているときに出てくるものだと思います。
では競馬場の右回り、左回りコース、それぞれ何ヶ所ずつあるかですが、JRAには、北は北海道、南は九州まで、形状、距離、気候・・・様々な点で違いのある10ヶ所の競馬場があります。そのうち新潟、東京、中京の3つの競馬場が左回りのコースです。他の7つは右回りコース。そんな事情で「この馬は、どこの競馬場が得意、不得意」と語る競馬ファン、関係者は多いようです。人では陸上競技やスケートなど、左回りが当たり前ですが・・・。
ここでは、この「右回り左回り」は単なる話のきっかけに留めておくということで、あくまでもこの話とは直接関係ないことを前提にした、私独自の考えに基づく話として聞いてくださいね!で、今回のテーマは、「右利き」と「左利き」についてです。興味のある方はお付き合いください。
例を挙げたように、私たちの日常のいろいろな場面で右か左かどっちだ?・・・と話題になることって意外と多いですよね。皆さんはご飯を食べる、ものを書くときなど、右利きでしょうか、左利きでしょうか?・・・私は右利きです。我が家は4人家族ですが1人左利きがいます。一説に日本で左利きの割合は10%前後と言われ、欧米でも多いところで15%くらいと言いますから、左利きは貴重な存在と言えるかもしれません。そこで、
私たちの大好きな馬にも利き肢はあるのか
ということになりますが・・・考えたことはありますか?人の場合は、手足に5本の指があり、書く、投げる、蹴る、切る、回す、押すなど生活する上で必要かつ繊細な動作があります。特に野球、サッカーなどの球技系のスポーツでは利き手を生かして、有利に試合を進めようとしますね。利き手は時に重要な問題となります。しかし馬は四足歩行であり、しかも奇蹄目(きていもく:ひづめを持ち、指が奇数の動物。1本の馬、3本のバク、サイがいる。牛などは2本なので偶蹄目。)に分類され、中指1本で立って歩いたり走ったりしているだけなので、利き肢はそれほど重要ではないのかな、とも思います。でも馬の蹄を良く見てみると、微妙に形が違ったり、蹄の磨り減り方も左右で違ったりします。競馬でも、スローモーションで良く観察すると、右を手前に出して走っているときと左を手前にして走っている姿を見ることができます。あるときは乗り手の指示に従い、あるときは個々のタイミングで左右を変えています。
利き肢か単なる癖か
かなり前のことになるのですが、馬にも利き肢があるのかどうか、どうしても気になった私は、利き肢とまではいかないが、馬によってどちらかの肢を前に出しやすいとか、どちらかの肢を使う頻度が高く、癖みたいのがあるのかな・・・そう思って、子馬の草の食べる仕草をじっくり観察したことがありました。大人の馬と比べると、子馬の場合は体の大きさに比べて、肢が長く首が短く見えますね。そのため、地面の草を食べたいときは、大人の馬よりも、前足を前後に大きく広げて、頭の位置を低くして首を曲げないと、上手く食べることができません。このときどちらの肢を前にしてもいいのですが、
馬によって草を食べるとき前に出す肢が決まっているのでは?
そういう疑問を持ち調べてみたのです。
行動学的に正確な調査方法で実施できなかったのですが、立ち止まって、肢を広げて、一定時間以上同じ姿勢をとって静止したとき、右が前か左が前か・・・試しにカウントしてみたんです。
「あっ、右を前にして、草を食べ始めたぞ。時間を計って・・・。はい、右前1回!」
そんな感じでカウントして、数ヶ月かけて調べてみました。で、結果はというと・・・
調べた頭数の半分では規則性はなく、その日によって右が前だったり左が前だったりしたのですが、残りの半分では、明らかに前に出す肢の右か左を決めて草を食べていたんです。実に面白い結果でした。蹄の形との関連性についてまで追求することはできなかったのですが、さく癖などと同じように、単なる馬の癖のひとつなのかもしれないし、本当に利き肢があるのではないかという可能性も残しました・・・。調べられた子馬を、更に追って調べてみたら面白かったかもしれませんね!今後は、競馬などで馬が走る姿を見るときは、どこの場面でどちらの肢を前に出しているか注目しながら見ると面白いですよ。何か新しい発見があるかも知れません・・・。
何気ない仕草を気にしてみる
今回のテーマですが、右利き左利きを知ることが重要だと思ってお話ししたわけではありません。何でもいいので、
馬の何気ない仕草に興味を持って追求してみてほしい
そんな気持ちで話題として取り上げました。結論なんか無理に出さなくたっていいのです。最初はこんなことに興味を持って始めたのに、思いがけずこんなことがわかった、身についた、ってこともあります。そこが重要です!とにかく馬のことを知るきっかけ作りになればいいのです。
それにしても、ちょっとマニアックな話題でしたかね(汗)。
今回もお付き合いありがとうございました。懲りずに次回もよろしくお願いします。