2024/02/13
JRA日高育成牧場です。
2018/02/14
出産シーズン突入
この原稿を書いている今日は、また爆弾低気圧が来て嵐でした。また、群馬県では白根山が噴火し、東京では大雪、積雪で交通マヒ。落ち着かない日が続いています。
日高は年が明けて出産シーズンに入りましたね。近隣の牧場では1月に予定日の馬も多くいたようで、種牡馬の展示会に行く途中には子馬の姿も見かけました。日高育成牧場では、2月が予定日の馬は4頭いますが、すでに分娩監視用のカメラが備え付けられている馬房に移され、インドアパドックの準備も完了しました。少しずつですがあわただしくなってきた感じです。出産の1ヶ月前になれば、妊娠に関係のある体内でのホルモンの動きも活発になり、お腹の中の子馬も大きくなってきます。単純な放牧だけでは運動不足も心配されることから、WMも上手く活用して管理しています。
とにかく、みな無事に生まれてきてほしいものです。
育成馬検査
育成馬の調教も順調に進んでいます。先月末は、明けて2歳となった育成馬の成長振りを確認するための検査を行いました。
個々の馬体を見るのはもちろんのこと、歩様チェック、病歴の確認など様々な角度で検査を実施しました。角馬場では、隊列の作り方、チームワーク、またハンドリング、馬体の手入れなど、日常の管理についてもよく見て、総合的に馬の評価をしました。これらの結果を分析して、4月のブリーズアップセールの方針も決められていくことになります。今後、調教も進んでいくと、体調を崩す馬が出たり、故障を発生したりで、思うように調整が進まない場面も出てきますが、気持ちを大切にして、心の通った管理がいい馬をつくることにつながるので、頑張ってやっていきたいと思っています。
大きい、小さい、太っている、痩せている
唐突ですが、私は身長が173cm、体重は63kgです。
私は大きいですか?小さいですか?太っていますか?痩せていますか?
実物を見ないでどうですかと聞かれてもピンと来ないですよね。自分に比べればどうかな、と考えることはできると思いますが、年齢などの情報も書いていませんから、たとえば小学生なら大きいだろうし、バスケットやバレーボールの選手に比べれば小さいだろうし、欧米人と比較するなら小さいし、電車に乗って他の人と比べれば小さいほうでもない。いろいろな解釈ができます。結構難しいものですよね。
資料などで調べると、馬の標準的な発育とは・・・という項目があって、年齢に応じた発育表なるものがあります。そもそも、馬の大きさを表現するときに使う項目は何かと言うことですが・・・
○体重:たいじゅう
○体高:たいこう
○胸囲:きょうい
○管囲:かんい
この4つを使うことが一般的です。管囲は聞き慣れない言葉だし、少しわかりにくいかもしれませんね。馬の前肢のほぼ真ん中にある「腕節(わんせつ)」という関節とその下の「球節(きゅうせつ)という関節の間の部分を管部(かんぶ)と言いますが、そのほぼ中央の太さのことです。
それぞれの測定法については、写真を参考にしてください。
馬を見ることができるプロの人は、その馬の親子関係や自分がこれまで馬を見てきた経験、そして血統の知識から、馬の体型を評価することができます。でも、慣れない人にとっては難しい。そこで今回は、様々な馬の体を見る手段の中から比較的なじみやすい2つの方法に的を絞って、簡単にお話しすることにします。
背の高い馬だね、低い馬だねと言えるようになろう
まずは「背が高いねえ、低いねえ」などと言えるようになりましょう。そのためにはどこを見るかですが・・・「き甲(こう)」と呼ばれる部分を見ましょう。き甲という言葉は、初めて聞く人も多いでしょうから、上の写真で場所を示してありますので見てください。
説明するまでもないですが、人の場合、身長を測るときは背筋を伸ばし、頭の上までの高さを測ります。でも馬では上手く測れないので、地面から背中の前方の一番高いところ、「き甲」までの高さを「体高」と評して、専用の物差しで測定しています。しかし、道具も持たずに牧場などに馬を見に行ったときは、いちいち測ることはできませんね。
なので、まずはき甲の高さが
自分の目線で何cmの高さなのか
を知るのです。馬が目の前に来たら、地面が平らなところに立たせてもらって、き甲に目線を合わせて背の高さを予測してみましょう。競りが近い時期なら、どこの牧場でも体高、胸囲、管囲の3つの値を把握しているはずなので、予測してから答えを聞いて練習してみましょう。もちろん、馬の大きさを評するには、胴の長さ、首の長さ、顔の大きさ、肢の長さなどから総合的に判断するので、体高だけで大きい小さいを言うのは無理がありますが、まずは手始めとして、体高を読むことに慣れることが大切だと私は思います。あくまでも標準値ですが、生まれて1ヶ月ごろで110cm前後、離乳する半年くらいで130cm前後、明けて1歳になる頃に140cmを超えるようになり、競馬で走る頃には150~160cmくらいになっているでしょう。性別では大差はありませんが、平均すると雌のほうがほんの僅か低いくらいです。
「この馬背が高いね」「低いね」
そんな風に言えるようになれるといいですよね。
少し太めだね、やせ気味だねと言えるようになろう
次に胸と背中を見ましょう
太っているのか痩せているのか・・・体重を量れない現場では、こちらを推測するほうが難しいかもしれません。先に体高と同じように標準値を書いてみます。生まれたときが55kg前後、1ヶ月ごろで100kg前後、離乳する半年くらいで220kg前後、明けて1歳になる頃に300kgを超えるようになり、競馬で走る頃には450~550kgくらいになっているでしょう。性別ではこれも雌が少し小さい感じになります。体高と比較すると、体重を見た目で推測するのは難しいですが、手始めにどこを観察するのがいいでしょうか?
私のおすすめは肋骨と背中です。
まずは肋骨。胸の部分をよく見ると、肋骨が薄っすらと見えるのに気がつくでしょう。軽く触って感触を確かめてもいいと思います。薄く見えるくらいなら問題ないですが、くっきりと見えるようなら痩せていると判断できるし、まったく見えないとなれば太っているとなります。少しわかりにくいですが、写真を見て確認してください。
次に背中です。馬はちょっとした刺激で後ろに蹴るので注意して観察してもらいたいのですが、横または斜め後ろから背中の部分を見てください。こちらも触ってみるといいと思います。写真では、背骨を中心として輪切りにした絵(あくまでもわかりやすいように極端に書いています。下手ですいません・・・。)を添えていますが、背骨の中心を軸にしてほぼ両サイドに平らであれば標準といえますが、背骨の部分がとがって両サイドが下がっているように見えると筋肉が落ちている、痩せている、逆に真ん中の背骨の位置がへこんで両サイドが盛り上がって肉付きがいいように見えると太っているとなります。
「この馬少し太いね」「細いね」
そんな風に言えるようになれるといいですよね。
どうですか?言葉で説明するのはなかなか難しいですが、まずは以上の2点を見ることから始めてほしいと思います。慣れてきたら、標準発育資料、ボディーコンディションスコアの付け方、血統による馬の見方など、先輩に教わりながら見るといいと思います。
今年はとにかく寒いです。雪も多いです。皆さん体調を崩さないように・・・。
お付き合いありがとうございました。