2024/02/13
JRA日高育成牧場です。
2017/01/19
涼夏少雪の気候といわれる日高地方は、冬でも-10℃を下回ることは少なく、北海道のなかでは比較的過ごしやすい・・・。はずなのに、なんと今朝の気温は-17℃!手袋をはいていても(あっ、北海道では手袋をつけることを「はく」って言うんですよ)、指先が凍えてしまいます。こんな厳しい環境のなかで、日高の馬はどんな暮らしをしているのでしょう?と言うことで、今回は日高育成牧場の馬たちのWinter Lifeを紹介します!
それでは、まず年が明けて2歳となったJRA育成馬から。現在、JRA育成馬は4月25日(火)に開催されるブリーズアップセールを目標に、基礎体力を養うためのトレーニングの真っ最中です。外は雪に覆われ一面の銀世界ですので、屋内のトラック馬場(一周800m)と坂路馬場(直線1000m・最大勾配5.5%)が主な鍛錬の場。育成馬たちはトラック馬場の騎乗調教をベースに、週2回坂路を駆け上がっています。その甲斐もあって、随分走行フォームがしっかりとし、肩や腰回りも立派になってきました。
ちなみに、研究部門を持つ日高育成牧場のウリの一つは、科学的トレーニング。定期的に育成馬の乳酸値や心拍数を計測し、効果的なトレーニング強度の設定などに役立てているんです。すごいでしょ( ̄^ ̄) ドヤッ。
次は、昨年当場で生まれた1歳馬、ホームブレッドの生活です。この頃の1歳馬は集団で放牧管理され、馬同士の相互関係から社会性を学ぶ時期。したがって、お兄さんたちのようにトレーニングは課せられません。人に例えれば、友だちと遊ぶことが仕事の小学生といったところでしょうか。えっ、今どきの小学生は塾通いで忙しく、そんなのん気な生活はしていない!ですって。確かに、そうですね。でも、当場の1歳馬の暮らしもこの季節は楽ではありませんよ。なんせ、当場は昼夜放牧。雪の降る日も、凍てつく夜も野外にいるわけですから。昼夜放牧のメリットについては、移動する距離が増えるので運動量が増える、様々な環境変化に馴化適応することで精神的に成長する。あるいは、換気の悪い屋内に比べ病気になり難いといったことが言われています。また、馬は-15℃までは、馬服がなくても夜間屋外で問題なく過ごせるといった研究報告もあるようです。1歳馬は、この冬の昼夜放牧を乗越えることで心身ともに鍛えられ、逞しく成長できるのですね。がんばれ、ホームブレッド!
最後は、繁殖牝馬。彼女たちは、写真6のように明かりの灯った馬房で過ごしています。馬は、日長時間が長くなることによって排卵・発情が起こる「長日性季節繁殖動物」。もうすぐ来る交配シーズンに備え、馬房内を人工的に明るくし排卵発情を早めようとしている訳です。この方法はライトコントロールと呼ばれますが、人工的な光をあてて開花時期を遅らせる電照菊に(早める、遅らせるに違いはありますが)よく似ていますね。繁殖牝馬が、予定通り妊娠してくれるかどうかは生産牧場にとって死活問題。当場の繁殖牝馬たちも、みんな元気に健やかな子を宿してくれることを祈っています。
写真6.明りが灯った繁殖牝馬の馬房。この明りは午後8時まで。
以上、日高育成牧場の2歳馬・1歳馬・繁殖牝馬のWinter Lifeをご覧いただきました。それぞれ馬が、春に向けて少しずつ歩みを進めていることを感じていただければ嬉しいです。それでは、皆さん。寒さに負けず、元気に過ごしてください。
追伸、日高の人のWinter Lifeも楽しいですよ。美しい日高山脈に星空、楽しいスケート。
日高は、ここでしか味わえない魅力に溢れています(⌒ー⌒)ノ。