2024/02/13
JRA日高育成牧場です。
2016/10/05
日高育成牧場は、今騎乗馴致の真っ最中。BTCの田口君のブログにあったように、日高育成牧場ではBTCの研修生の実習を行ないながら、無垢な1才馬が人を乗せ指示に従うように練習しています。一口に騎乗馴致と言っても、とても沢山のステップを一歩一歩登っていくような根気のいる作業の連続です。ちょっと例をあげると、タオルで馬体をパタパタ触ることから初め、ストラップを使い腹帯の圧迫に馴れる練習をし、ランジング(調馬索)などを行ないながら人の指示に従う事を教え、少しずつ人が背中に乗ることを受入れるように馴らし・・・といった具合です(その様子の一部は、僕の前回のブログやBTCの田口君のブログに紹介されていますので見てくださいね)。でも驚かされるのは、馬の理解力の高さと記憶の確かなこと。
日高育成牧場では、一つの課題をしっかり馬が理解していることを確認してからでなくては、次のステップに進みません。したがって、決して急いでいる訳ではないのですが、ほとんどの1歳馬は一日(と言っても訓練しているのは1時間もありませんが)で新しい課題を理解・記憶し、翌日は次の課題に取組み覚えることができます。そして、2週間後にはちゃんと人を乗せ馬対場に出ていきます。もちろん、私たちが海外の技術を積極的に取り入れ、トライ&エラーを繰り返し築き上げた合理的な騎乗馴致方法のお陰とも言えるのですが、それとてクレーバー(賢い)な馬の特性があるからできること。「馬のDNAには、人を乗せコミュニケーションをとる能力があらかじめ組み込まれている」と思ってしまうほど馬は素晴らしい能力を持っています。
ところで、馬の騎乗馴致を英語ではブレーキングと言います。「馬に乗る前に手綱やハミを使ったハンドル操作やブレーキ(Brake)を教えるからブレーキングでしょ?」と勘違いしている方がいるかもしれませんが、ブレーキングはBreaking。本当は壊すという意味のBreakです。これは、馴致が野生動物としての「殻」を破り(壊し)、新たに人と馬との関係を構築する作業であるため英語ではBreakingと呼ぶようです。
現在、日高育成牧場で実習中のBTC研修生の皆さん。それぞれが様々な生い立ちを経てきたと思いますが、今は素敵なホースマンになるため自分の「殻」をブレークするために悪戦苦闘中です。でも、大丈夫ですよ!皆さんは、自分が思っているよりとても成長してます。皆さんの「殻」が割れて、新しい世界が見える日はもうすぐです。
騎乗する前に、ランジング(調馬索)を使いながら、人の指示を理解し動くことを教えます。このころは、「え~。ぼくどうすればいいのー」と馬も戸惑っているように見えますね(笑)。
しかし、馬は素晴らしい理解力と記憶力で一歩一歩ステップアップ。2週間ほどで人を乗せ指示に従い動けるようになります。神妙な面持ちで見つめているのはBTC研修生の皆さん。冬にはこれら馬に騎乗し調教をすることになります。若馬に負けない成長ぶりです。
競馬を見据えて、ゲートの通過にも早い時期から取組みます。「ちょっと不安だけど、乗っているお兄さんも励ましてくれるし、隣に友達もいるからがんばってみようかな?」って感じですかね。