2024/02/13
JRA日高育成牧場です。
2015/02/18
近年、厳冬期にも昼夜放牧で管理する方法が注目を集めています。いろいろな考え方はあると思いますが、昼夜放牧管理は、馬を鍛えるというよりも、野外で飼育することが『馬が生理的に自然である』という考え方に基づくものと考えています。
厳冬期の北海道で昼夜放牧管理群と昼放牧群を比較すると、自律神経機能での指標であるHFパワーが上昇する、すなわち副交感神経活動が優位になることが明らかになりました。このことは、厳しい寒さから体を守るために代謝活動を低下させることを意味します。つまり、この間の成長停滞の問題をどう解決するが厳冬期放牧管理の課題といえます。特にマーケットブリーダーにとっては重要な問題です。
プロラクチンというホルモンは、成長ホルモン様の作用を有し、運動などの刺激によって分泌されることが知られています。日高育成牧場では、昨年からJRAホームブレッドを、昼夜放牧群と昼夜放牧とウォーキングマシンを併用する群を設定し、自律神経機能やプロラクチン分泌等を比較しているところです。得られた成果については、とりまとめたうえで皆様にお知らせしていきたいと考えています。
現在、JRAホームブレッド1歳馬は放牧を22時間(朝10:30~翌朝8:30)行っており、寒さのストレスを軽減するため、放牧時には馬服を着用しています。なお、エサは1日2回給餌しています。
朝(馬房内):スタム(バランサー)0.5kg、エンバク1kg、ルーサン2kg
夕(放牧地):スタム(バランサー)0.5kg、エンバク1kg、ルーサン2kg
この他に自家製牧草の自由採食(馬房内および放牧地)を行っています。
7頭のボディコンディションスコア(BCS)は5.0~5.6(平均5.2)で管理しています。また、12月初旬~1月初旬の1ヶ月間における1日あたり体重増加量(ADG)は、0.3~0.6kg(平均0.4kg)でした。
昼夜放牧中の1歳馬です。夕方はこのように放牧地で給餌しています。
積雪量が少なく放牧地の状態がいいときは、このように気持ちよさそうに走ります。
2歳馬も、ブリーズアップセールに向けて順調に調整を行っています。トラックの中では、F22~20程度のスピードの中で隊列を整え、騎乗者の指示に対する従順性向上を課題として基礎体力を養成しています。また、坂路では週2回2本(3F57~54秒程度)のステディキャンターを行っており、3月中旬からスピード調教を開始する予定です。