2024/05/02
JRA日高育成牧場です。
2016/12/06
ジャパンカップは、キタサンブラック号が絶妙なペースで逃げ切りましたね。最後の直線で後続を突き放すパフォーマンスをみせたキタサンブラック号も凄いのですが、絶妙のペース配分でラップを刻んだ武豊騎手の騎乗振りはいつもながら天晴れ。逃げたら、武豊の右にでる騎手はいませんね。
さて、毎年ジャパンカップの翌日に、JRAの競走馬に関する調査研究発表会と日本ウマ科学会学術集会が共同開催されていることをご存知でしょうか?ことしも、東京大学でJRAの研究発表会については月曜日のみ、ウマ科学会は月火の日程で開催されました。
まず、JRAの研究発表会ですが、こちらは参加費無料で誰でも入場することができます。発表者は主にJRAの臨床獣医師や研究者で、新しい医療技術や検査法などが紹介されるのですが、馬のスポーツ科学に関する発表など、競馬関係者なら誰でも興味を持つような発表も多くあります。そのせいか、会場を見渡すとJRAの獣医さんや厩舎関係者、それに生産地の馬関係者で一杯。JRAの調教師さんばかりか、ペットの獣医さんからも質問がでて、真剣な意見交換がなされていました。なぜか、そのやりとりを聴いているだけで自分も頭が良くなったような気がするから不思議ですよね。そんな雰囲気のなか、私たち日高育成牧場は「JRA育成馬を用いた育成後期のV200と競走成績に関する調査」と題した発表を行い、牡と牝では有酸素運動能力の成長の仕方に違いがあるのかも?といった考えを述べさせていただきました。よく"牝馬の仕上がりは(牡に比べて)早い"と言う話しを耳にしますよね?私たちのこの研究が、その謎を解き明かすキッカケになったら良いな~、なんてことを考えています。
一方、日本ウマ科学会学術集会ですが、こちらは有料。学会の会員は3000円、非会員は5000円、学生は1000円の参加費が必要になります。でも、発表内容は獣医学から馬学、歴史の話まで実にバライティに富んでいて、飽きさせません。例えば「なぜ、日本古来の乗馬では右側からのるか?」、「馬体重や日齢と競走成績との関係は?」、「ホースセラピーと鍼による癒しについて」など、競馬ファンから歴史愛好者まで楽しめる発表が目白押しです。それに加えて、世界的に有名な米国の獣医大学の教授による講演会まであるのですから、この参加費はリーズナブルとさえ言えます。こちらでも私たちは、「サラブレッド種繁殖牝馬の年齢が競走成績に及ぼす影響」と「前肢における著しいコンフォメーション異常が市場および競走成績等に及ぼす影響」の2題を発表しました。この発表では、6-10歳時あるいは交配開始3年目に交配した繁殖牝馬の産駒の成績が良いこと、肢曲がりは一般に考えられているほど競走成績や故障への影響がないことを統計的に明らかにしており、少なからず生産者の皆さんには興味を持って頂ける内容だったのでは?と思っています。生産地の皆さんのお役に立つような研究の実践!それが私たち日高育成牧場の使命ですから、これからも皆さんの期待に応える研究をドシドシ実施しますよ。楽しみにして下さい('-'*)ヨロシク♪
さて、この研究発表会と学術集会ですが、参加者が増え続け東大会場が手狭になったため、来年からは東京両国のKFC Hall&Roomsに会場を移し開催されるそうです。
皆さん。機会があったらぜひ覗いてみて下さいね。日本の馬好きと馬関係者が一堂に会するこんなイベントは、他にありませんから。来年の開催も、いつものとおりジャパンカップの翌日ですよ。
追伸、日本ウマ科学会。どうして"馬"じゃなくて"ウマ"なの?と会長の青木先生に尋ねたら、「馬科学会だと、バカ学会になっちゃうから」と真顔で返答。本当かな?
会場となった東京大学弥生講堂。アカデミックな雰囲気で、なんとなく身が引き締まります。
我が日高育成牧場の平賀場長は、昨年日本ウマ科学会学会賞を受賞(スゴイ!)。それを記念して、今回の学術集会で受賞講演が行なわれました( ̄∇ ̄ノノ"パチパチパチ!!。