2017 谷口牧場レポート

2017 谷口牧場レポート

谷口牧場

今回がBOKUJOB初参加となる谷口牧場ですが、以前から高校や大学の馬術部からの依頼で毎年学生を受け入れるという取組みもしてきたそうです。
谷口幸樹社長は「馬の習性を理解し、それを利用することで体の大きなサラブレッドだって人間が大人しく扱えるようになるということを広めたい」と言います。それは「ナチュラルホースマンシップ」と言われる方法です。牧場の仕事を体験してみたいという人をできるだけ受け入れているのは、そのためだそうです。そして「ここで活躍している女性スタッフの仕事ぶりを見て女性も牧場の仕事を出来るんだ、選べるんだという事を理解して欲しい。」とBOKUJOBに対する意気込みを話してくれました。

谷口牧場では生産業務のほかに谷口幸樹社長自身が代表を務める浦河育成センターで競走馬の中期育成、いわゆるコンサイナーの仕事も行っています。コンサイナーとは、セリに出す1歳馬を生産者から預かり、市場開催日に向けてボディコンディションを整える仕事です。単にボディコンディションを整えるだけではなく、人間とのコミュニケーションがちゃんと取れるように躾けたり、見栄えがよくなるように毛ヅヤを磨いたりして購買者にアピールします。
渕上場長は「華やかな競馬の世界の裏側で、馬産地では毎日血のにじむような思いで仕事をしています。もしかしたら、参加者が抱いているイメージとは異なるものなのかもしれませんが、現実を見てもらえたらと思います。」と話してくれました。

ここでお世話になるのはBOKUJOBのサイトでこの企画を知り応募したという大好きな馬に関わりたいと思った2人の女子高校生。谷口さんに挨拶と自己紹介を済ませたら早速施設の見学に出発です。
まずは繁殖厩舎に向かいました。ここは母馬である繁殖牝馬と今年生まれた当歳と呼ばれる仔馬が暮らしています。離乳を終えて、お母さんと別れて一頭で寝ている仔もいました。まだ幼いのに寂しくないのかな・・と女子高生達が寝息をたてる当歳に目をむけると、「他の当歳とそのお母さんが一緒にいてくれるから悲しく嘶くのも1日くらいだよ。」と聞き少しホッとしたような表情になりました。


馬と一緒に馬運車へ

次に、セリを控えた1歳馬の厩舎移動も見学します。馬運車という大きなトラックに、大人しくすんなりと乗り込んでいく馬を見ていたら「馬と一緒に乗って、馬運車の中で馬はどんな風に過ごしているのかを観察してみたら?」との提案が!よじ登って人間が出入りする小さな入口から車内に入り馬と一緒に揺られながら別の厩舎まで。「馬と一緒に車に乗り込むなんて体験ができるとは思わなかった。」と充実した表情を見せてくれました。


質問は絶えない

一通りの作業は、朝5時に始まります。集牧、飼い桶洗い、馬房掃除、餌やり、手入れ。午後から放牧。馬房掃除、餌作りなどをこなします。合間に馴致を見学させてもらいます。ナチュラルホースマンシップに基づいた馬との接し方で進める馴致の説明は、最初のうちは何がわからないのかもわからない状態でした。ですが、日が経つごとに知りたい事やわからない事がでてきて質問がどんどん出てきます。


考え方が変わったナチュラルホースマンシップ

「自分が思っていた世界観と全く違いました。ナチュラルホースマンシップを習得して、渕上場長みたいに人に教えられる人になりたい。ナチュラルホースマンシップを学びたいという気持ちが固まりました。」という参加者がいました。
谷口社長は「馬を見る時は常に観察するという気持ちで見て欲しい」と言います。その言葉は「どんな事でも良いから、何かを発見するんだという気持ちで観る」という意味ですが「今までは感覚的にしかみていなかったので、馬に対する考え方が変わってきました」という人も。「質問には、とても丁寧にわかりやすく説明してくれるのでとても有難かったです。」という声は2人に共通したものでした。
参加した2人は「女性スタッフの活躍が励みになりました。力仕事という事だけではなく女性も安心して働ける牧場があるのは心強いです。」「馬のために、人のためにという考え方が心に響きました」と充実した眼差しで話していました。

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