2023 メインフェアレポート

2023 メインフェアレポート

6月3日(土)、4日(日)、東京競馬場フジビュースタンド1階イーストホールにおいて、競走馬の牧場への就業に関心をもつ若者向けのイベントである「BOKUJOB2023メインフェア」が開催された。
2019年までに10回開催してきたメインフェアであるが、コロナ禍の影響により2020年以降は休止し、実に4年ぶりの開催となった。
久しぶりの開催となったこと、台風接近に伴う前日からの荒天などの不安材料もあったが、東京競馬場の開門と同時に、会場の受付前には参加者も集まり、出展牧場・団体と参加者双方の期待感が高まるなかで、BOKUJOB2023メインフェアは開始した。

多くの参加者で賑う会場

BOKUJOB2023メインフェアは、従来と同様に安田記念(GI)が開催され、多数の来場者が見込まれる週での開催となった。久しぶりの開催となったことも影響してか、出展牧場は23牧場、と前回より減少することとなった。
初日の6月3日(土)は前日の荒天の影響で、西日本の出展牧場の一部が東京競馬場に来場できないなどの想定外の事案が発生し、また東京競馬場も前日からの雨模様が続いたこともあり参加者の出足に心配もあったが、開始時刻の10時には会場受付の前に面談希望の参加者が次々に集まり、BOKUJOB2023メインフェアは予定どおり10時にスタートした。
『初日、悪天候であったが、非常に多くの方が来場されてびっくりしました。告知がしっかりなされていたおかげ』との、滋賀県から参加の育成牧場からコメントがあった。このコメントが裏付けるとおり、出展牧場などとの面談を希望する参加者が、途切れることなく受付を行う光景が見受けられ、初日は高校生、大学生などが中心の参加者65名、その保護者や関係者など51名が来場した。
また、2日目の6月4日(日)は、前日から打って変わって好天にも恵まれ、安田記念(GI)当日でもあったことから、開場時刻の30分前の9時30分には、面談希望の参加者が列をなす状況であった。開場後も、参加者の来場の勢いは衰えることなく、午前中の時点で前日の参加者数を超え、最終的には、高校生、大学生などが中心の参加者149名、その保護者や関係者など170名が来場した。
例年、参加者には緊張で最初の面談を躊躇する傾向があることに加え、昨今の「ウマ娘」ブームの影響を受けた若年層には、牧場の仕事に具体的イメージが無い者も多いことから、本年はフリースペースとして新たに設けた「交流コーナー」を積極的に活用した。
この「交流コーナー」で、BOKUJOB事務局員が会話を通して参加者の緊張感を解きほぐすことに努めるともに、面談先の牧場が決まっていない参加者には、事務局員が「生産牧場と育成牧場の違い」や「どのような地域に所在するのか」などを丁寧に説明することで出展牧場に尋ねたい質問の具体化・明確化を支援したり、希望に合致する牧場のブースに誘導したりすることに努めた。その結果、10か所以上の出展牧場・研修機関と面談する参加者もおり、限られた場所と時間となかで、効率的な面談が行うことができた。
新型コロナ対策として各牧場の面談ブース間にパーティションを設置するなどしたため、面談スペースは手狭に感じられたが、隣のブースの声を気にすることなく面談に集中することができたとの意見が、出展牧場側からも参加者側からも聞かれ、思わぬ副次的効果が得られた。
新冠町から参加の総合牧場からは『今回は“ただ来ただけ”という方が少なかったように感じました。有意義な2日間でした』、日高町から参加の総合牧場からは『4年ぶりの開催でしたが、真剣に牧場就職を考えられている方に多くお越しいただきました』とのコメントがあった。

インターネットの活用で進化するBOKUJOBメインフェア

今回のメインフェアでは、東京競馬場に出展した牧場・研修機関などの団体のほかに、コロナ禍において利用が一般的となったWeb会議システムを用いた「Web面談コーナー」を設置して、業務都合などにより東京競馬場での出展ができなかった6牧場・1団体が各牧場・団体所在地からオンラインにより参加した。
「Web面談コーナー」では、オンラインで面談ができる専用端末を設置することで、参加者が出展牧場との面談と同じように面談することができ、出展がかなわなかった牧場、メインフェア不参加により希望牧場との面談がかなわなかった参加者ともに、それぞれと接点を持つことが可能となる有用な仕組みであると感じた。
Web面談については、新ひだか町の総合牧場からは『業務で忙しい時期のため、Web形式での出展の選択肢があることはありがたい』、『参加者の熱意が高まっている印象を受けた。面談中もこちらから一方的に話すケースがほとんどなかった』と評価するコメントがある一方で、一部の牧場からは「もう少し参加者が多いと思っていた」とのコメントもあった。
牧場と参加者にとっては、有用な仕組みであることから、運用面の改善を図り、次年度以降も引き続き実施することとしたい。

研修・進路相談に関するコーナーでは

出展牧場に加えて、JBBAやBTCといった研修機関を有する団体や日本で唯一サラブレッドの生産を授業で行う北海道静内農業高等学校などの5団体もメインフェアに参加した(1団体はWeb相談コーナーでの参加)。
BOKUJOBを通じて、JBBA・BTCが行う研修の認知度が上がり、それぞれ40件を超す面談を実施した。また、北海度静内農業高等学校も中学生とその保護者など中心に、2日間で20組を超える進路相談を、新ひだか町の牧場を中心に求人相談を行ったJAしずないも20件近くの就業相談をそれぞれ実施したが、どの面談ブースも保護者同伴で面談に臨む参加者が数多く見受けられた。

馬産地の情報も

前回に引き続き、会場入り口付近に「競走馬のふるさと案内所」のコーナーを開設。安田記念(GI)が開催される週末のため、数多くの競馬ファンが来場されていたが、メインフェアに興味を示す方も多く、事務局イベントスタッフにイベント内容を尋ねる姿が見受けられた。
案内所には、出展牧場・研修機関のパンフレットや「牧場見学のルール&マナー」なども設置していたが、競馬ファンも思い思いに手にする姿も確認され、馬産地の情報を競馬ファンに発信・訴求する機会となった。

SNSやYouTubeチャンネルを利用した情報発信の重要性

BOKUJOBでは、コロナ禍の期間に多くのイベントで開催休止を余儀なくされてきたが、その一方でTwitterなどのSNSやYouTubeチャンネルによる情報発信に注力してきた。
その効果もあり、『SNSを見てメインフェアの開催を知り、会場に立ち寄った』『YouTube動画を視聴し、BOKUJOBに興味を持った』という参加者の意見も多く、『最近アップしたYouTubeチャンネルの求人牧場紹介動画を視聴したことがきっかけで参加した方が多数いた。インターネットを通じた情報発信の影響は大きいと思います』との、茨城県からの参加した育成牧場のコメントがあった。
今後も、牧場就業希望者にとって有用となる情報を、SNSやYouTubeを利用して積極的に発信していきたい。

藤沢 和雄JRAアドバイザーの講演

2日目には、中央競馬の調教師として歴代2位となる通算1,570勝をあげたほか、年間最多勝利を12回記録した藤沢 和雄JRAアドバイザーの講演を実施。
若者の牧場就労に日頃から関心の高い、藤沢アドバイザーは今年3月に開催した「牧場で働こう見学会(関東)」にも参加し、見学会の参加者を前に話していただいたが、今回も参加者約40名を前にこれまでの経験で培ってきた「馬との付き合い方・接し方」などについて講演した。最後には「牧場就業に関心のある人は是非馬に積極的に話しかけて欲しいし、機会があれば牧場スタッフなどを目指して欲しい」とのメッセージもあり、参加者にとっても貴重な体験となった。
なお、この講演は、当日来場できなかった方に向け、オンタイムで配信するとともに、収録映像をアーカイブ化して「BOKUJOB YouTubeチャンネル」新しいタブで開きますにて公開している。

年間を通したBOKUJOBの活動

4年ぶりの開催となった「BOKUJOB2023メインフェア」の来場者数は、参加者が214名、保護者・学校関係者などが221名、合計435名と、当初の想定を超える来場者数となり、大盛況のうちに終了したが、これは出展牧場やWeb参加牧場のご協力、多くの牧場就業を目指す方のご参加によるものであり、ご協力とご参加に感謝いたします。
BOKUJOB事務局では、メインフェアの他にも、年間を通してサポートデスク、牧場で働こう見学会(関東・関西)、牧場で働こう体験会、研修コース合同体験入学会などのイベント、Webを活用したWebフェアやWeb相談会といった活動を、多くの方にご参加いただけるよう全国各地で展開していますので、ぜひご参加ください。
また牧場就業に興味を持っている方々に向けて、Web、SNS、YouTubeなどを活用した情報発信も行っていきますので、ぜひともご覧ください。

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