牧場を知る
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2024/02/28
お久しぶりです。本ブログをご高覧いただきありがとうございます。奈良県出身19歳のG・Tです。
今年の静内は例年に比べて暖冬で雪も大部分は溶けてきました。しかし急に寒くなるなど、気温の変化が激しいので体調管理にはより一層気を付けたいものです。本研修も残り一カ月を切り卒業というものがもう目の前まで迫ってきています。残り数少ない研修の日々も全力で駆け抜けようと思います。
今回はJRA日高育成牧場(以降「日高育成牧場」と称する)で行った分娩実習についてです。日高育成牧場での実習は今回で5回目となり、今回が最後の実習でした。
一日で行う作業は受胎した繁殖牝馬や一歳馬、空胎馬の放牧と寝藁上げ等の厩舎作業が主なものでした。繁殖牝馬にはすでに出産を終えた親子もいて、その親子達を放牧するのも本実習の醍醐味の一つでした。生まれたばかりの仔馬は骨や筋肉が未発達なので、頸などに大きな負担がかかると簡単に折れてしまいます。なので、胸辺りとお尻当たりに手を添えて両手で抱えるようにして歩かせたり立たせたりします。これがとても難しいのです。力を入れすぎては強い負荷がかかるのでダメですが、仔馬は生まれたばかりでも元気いっぱいで想像以上に力もあり抑えるのが大変です。さらに生まれたばかりなので、じっと立つことや、人の横を歩くことなどもまだ何も分かっていないのです。そんな仔馬に対して丁寧にやさしく接して色々な物事を教えていきます。曳き馬の時も無口頭絡に曳き手を付けたりはせずに、肩を組むような腕の形で馬の胸に手を添えて歩かせます。左手ではお母さんに繋いだ曳き手を持っているので仔馬を片手で制御しなければならず、これもまたとても難しいのです。最初の頃は仔馬の後ろに人が立ってお尻をポンポンと叩いてあげて馬を歩かせました。とても難しかったのですが、普段の研修では絶対にすることのない貴重な経験をさせていただきました。
そして夕飯後に行う分娩監視というものがありました。分娩監視は夜間から朝方にかけて研修生が交代で行いました。寮の自室でPCを使い馬房内のカメラ映像を見るというものなのですが、これが新鮮で見ていて興味深いものでした。私たちは夜飼いというものを毎晩交代でしているのですが、深夜の寝静まった時間帯に馬の馬房内での様子を見ることができるのは目新しく面白かったです。ぼーっと立ったまま動かない子や堂々と横になり眠る子、親子も揃って眠っていたりと穏やかな空間でした。
そして実習期間内に実際に分娩に立ち会うこともできました。僕の行った班ではなんと実習初日の夕方に産まれたのです。夜ご飯前の夕方17時半頃に馬が産気づいてきて、その後破水をしたという連絡があり急いで厩舎へ向かいました。厩舎では職員さんたちが既に大勢集まって出産の対応準備をしていました。母馬は、最初は落ち着きなく馬房内をぐるぐる歩いていましたがその後座り込んで子を産む体制になりました。その後辛そうになりながらも懸命に力んで、無事に元気な子が出てきました。生まれた仔馬を母馬は丁寧に舐めて綺麗にしてあげていました。そして生まれてから仔馬は何度も自力で立ち上がろうと頑張って、生まれてから一時間経とうという頃に自分の力で立ち上がりました。ここまでの一連の様子を最初から最後まで見学させていただいたのですが、本当に感無量でした。一度夜ご飯を食べに寮へ戻りその後すぐに厩舎へ戻ってくると、仔馬は少し不慣れながらもしっかりと立って母親のお乳を飲んでいました。親子共々元気な様子で、ここでもまた感動が込み上げてきました。この出産見学は僕にとって一生ものの経験であり思い出になりました。実習が終わる金曜日には、出産に立ち会ったこの親子も元気そうに過ごしていて、この親子の収放牧もさせていただきました。
この実習の5日間は本当に有意義で素晴らしいものになりました。上記の他にも講義や育成厩舎での調教見学、直腸検査の体験など数多くの経験をさせていただきました。
日高育成牧場さんでは去年6月の当歳馬・繁殖牝馬管理実習から今回の分娩実習まで、数多くの事を見学・体験させていただき、多くの技術や知識を身に付けることができました。この一年間で関わった多くの職員の方々には感謝してもしきれないほどの思いです。仕事の中で、僕たち研修生に多くの機会を授けていただき、多くの事を教えていただき、本当にありがとうございました。日高育成牧場での経験を活かしてこれからも精進していきたいと思います。
略儀ながら、本ブログの文面にてお礼を申し上げます。本当にありがとうございました。