牧場を知る
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2021/03/24
42期生、最後のブログになります。研修生のN・Sです。
ブログは交代制で、本来ならば締めをくくる番ではなかったのですが、退寮が最後になるのでおはちが回ってきました。のんびりするのも考えものですね。
この杯を受けておくれ
なみなみと注がしておくれ
花に嵐のたとえもあるぞ
さよならだけが人生だ
井伏鱒二による于武陵『勧酒』の名訳です。人生に別れはつきものだ。だから今日だけはとことん呑もうじゃないか。そういう詩なのですが、なんとも気持ちのいい詩です。
ただ今の月日、時刻は、3月24日、12時51分。
この一時間ほどで三人の退寮を見送りました。午後にももう一人います。
こういうのをシャイと言うのでしょうか、『勧酒』ほど割り切れず、別れのシーンは涙を流すほど感動的でもなく、抱擁を交わすほど情熱的でもありませんでしたが、腹の内を涼しいモノが通るような寂しさが、見送るたびに吹き抜けていきました。一人ひとり、背中を見送るたびにこうなのですから、ほんと、のんびりするのも考えものです。
ただ今、14時12分。さらに一人が去っていきました。
さて、一年の研修が終わりました。四月に始まり、三月に終わりました。学びの場として、いかにもな区切りです。これが学校であれば、進級し、あと2、3年で卒業というところでしょうか。しかし来月になれば、私たちはプロの現場に入ります。進級も卒業もありません。区切りがありません。評価は公平に見られ、むしろ経験の差をくつがえすには、ホースマンとしても人間としても相応の精進が必要になってきます。それが区切りなく続いていきます。気が遠くなります。未来を思うと、不安にすら駆られます。
ですから私は、2、3日ぐらいを考えていけばいいのではないかと思います。目の前にある仕事に、馬に、人に注力していけばいいのではないのかと思います。どうせ評価は後ろにしかつかないのですから。
とまあ、前向きなのか後ろ向きなのか、わからなくなってしまいましたが、最後に、寺山修二の『幸福が遠すぎたら』より、一部を抜粋させていただきます。これは『勧酒』へ対する作者からの応答の詩と言われています。
さよならだけが人生ならば
またくる春は何だろう
さよならだけが人生ならば
めぐり合う日は何だろう
何なんですかね。わかりません。ともかく北海道も暖かくなってきました。雪どけがこんなにも待ち遠しいとは思ってもみませんでした。
1年間本当に有難うございました。では、これにて