2022/05/06
皆様こんにちは、コスモヴューファームの江本です。
2020/07/01
皆様は、「競走馬の調教・育成」と聞いてどんなことを思い浮かべますか?
坂路調教、トラックコースでの調教、ゲート練習などなど...。調教メニューは様々ですが、具体的にどんなことをしているのか、なかなかイメージがつきづらいのではないでしょうか。
今回は、当牧場でメインに通年して行われている「坂路コース」での調教を紹介したいと思います。
坂路とは、読んで字のごとく坂道のコースで、ここを一気に駆け上がる事で馬の心肺機能や瞬発力、筋力等を向上させることができます。
身体的な向上だけでなく、併せ馬では、前進気勢や競争心、前へ前へ行きたがる気持ちを我慢させたり、精神面も鍛えたりすることができます。
また、競走馬は走る時に前脚にかかる負担が大きく、それが骨折などの故障につながりやすいのですが、坂路では前脚にかかる負担を軽減できるので故障しにくいなど、様々なメリットがあります。
コスモヴューファームの坂路コースは800メートルですが、平均勾配率が8%・最大勾配率が10%と急勾配なので、怪我のリスクを軽減しつつ、十分に負荷をかけることができます。
こちらが坂路コースのスタート地点です。
御覧の通り、屋根も付いているので多少の雨雪なら問題なく調教を行うことができます。
ここから馬たちが1頭、あるいは何頭かの群になって上がっていき、騎乗者が道中のペース配分をしながら1頭あたり1日1~2本、この坂路コースを上がるメニューを消化します。
ただ上がるだけでは調教にならないので、先ほども書きましたが騎乗者は道中のペース配分や走らせる場所、並走でしっかり馬同士併せて走らせる、などといった技術が必要となります。
ところで「勾配率8~10%で800メートルの坂路」...どういったコースなのか、数字だけでみるとよくわかりませんよね。
距離的にはそんなに長くないし、8~10%って急勾配なの?って思うかもしれません。
ということで...今回は馬の気持ちになって、この坂路コースを走ってみました。
丈夫な馬をつくるには、育てる人も馬の気持ちを理解することや日々の鍛錬が必要ですからね。
タイムもしっかり計っていきます。
早速スタート!最初のカーブ(1ハロン目)を過ぎて少し、まだまだ余裕...と言いたいところですが深い砂に足を取られて早くも息が上がってきました。
2ハロン目...。足が上がらなくなってきました...。
ちなみに画像の赤丸で囲ったものは、馬のタイムを計る測定器です。1ハロン(200メートル)ごとに設置してあります。
3ハロン目...。まだまだゴールは見えません。先ほどと景色がほとんど変わらないので進んでいない様に見えますが、ちゃんと進んでます(笑)
ゴール地点が見えてきました...!肺と心臓が限界...。
ようやくゴール!!もうへとへとです。ゴール地点からは静内の街並みにオーシャンビューと景色は最高なのですが、それを堪能する余裕はほぼゼロ...。
ちなみにタイムは...6分10秒。砂が深い上に勾配がきつくて、と色々言い訳をしたいところですが、馬たちはこのコースをなんと1分もかからずに駆け上がります。馬って凄いですね...。
今回、実際に坂路コースを走ってみたのですが、調教を受ける馬たちにとっては相当な負荷がかかることが分かりました。
時々坂路入りを嫌がったり、途中で走るのをやめようとしたりする馬もいるのですが、今ならその気持ちが分かるような気がします...。
彼らはこの厳しい坂路調教だけでなく、様々な調教や膨大な運動量をこなしていくことで丈夫な馬へと成長していくのですが、レースに出走するまでにはまだまだ準備が必要です。
今回は坂路調教のみの紹介でしたが、馬たちが毎日一生懸命調教に臨んでいることを念頭に置いた上でレースの観戦をしてみると、競馬で走る馬たちへの見方がまた少し変わってくるかもしれませんね。
広大な土地と、充実した調教施設で『丈夫な馬づくり』を基本とした生産・育成を行う総合牧場です。
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