2016 メインフェアレポート

2016 メインフェアレポート

(公社)競走馬育成協会、(公社)日本軽種馬協会、(一社)日本競走馬協会、(公財)軽種馬育成調教センターおよびJRA日本中央競馬会の5団体で構成されている牧場就業促進事務局が、6月4日(土)、5日(日)東京競馬場において7回目となる競走馬の牧場への就職に興味を抱き、就業を検討している若者向けのイベント「BOKUJOB 2016フェア」を開催した。

強い馬づくりは、まず人づくりから

同事務局は、生産・育成地の牧場での現状の人手不足の解消と将来に向けて次世代の優秀な人材の確保を目指して活動を行っている。
本年の3月には「牧場で働こう見学会 in 関東」と「牧場で働こう見学会 in 関西」を実施、関東・関西の育成牧場の現場を訪ね、将来の職場を実際に見学し、直接現場の責任者・担当者からの説明を受け、「職場」をリアルな感覚で感じとる機会を設けている。

また「BOKUJOB2016フェア」開催後も、6月25日(土)、26日(日)には、関西地区においては5回目のフェアとなる「BOKUJOB 2016関西フェア」を宝塚市のJRA阪神競馬場で開催、他にも「BOKUJOB 2016広報&相談コーナー」を7月16日(土)、17日(日)にJRA中京競馬場、7月21日(木)、22日(金)にインターハイ馬術大会会場(静岡県御殿場市)、8月13日(土)、14日(日)にJRA札幌競馬場、8月28日(日)にJRA宮崎育成牧場、9月3日(土)、4日(日)にJRA小倉競馬場、10月に東京競馬場で開催の予定で、全国規模で就職希望者の掘り起こしを行い、優秀な人材の確保を図っている。

SNSを活用し参加を呼びかけ

今年は、安田記念(GI)を開催中の週末で、競馬ファンの入場者が多数見込まれる東京競馬場での開催であったが、フジビュースタンド1階のイーストホールという絶好のロケーションを確保することができた。昨年のフェア開催は10月だったが、今年は6月に時期を早めることにより、フェアに参加したことで、競走馬の仕事へ就業する意識を高めた参加者が、7~8月の夏季休暇を利用して各牧場のインターンシップなどに参加しやすくするなど、開催時期も十分考慮されていた。

また、5月半ばからはSNSの運用を開始し、Facebook 及びTwitterを活用し、フェアの告知をするとともに、出展牧場や関係団体からのリツイートなどでも参加を呼びかけた。
参加者は会場到着後、受付票を記入、思い思いに出展ブースでの面談に向かった。

メイン会場 出展牧場は21牧場

今回は、21牧場(4日土曜日は18牧場)が全国から集まりブースを出展した。これまでに比べてメイン会場はコンパクトなスペースとなり、ブース間も近い距離となり、会場は常に賑わっている活況な印象を醸し出した。また、ウェイティングシートを設けなかったので、会場内に待機したBOKUJOB事務局担当者・コンシェルジュが参加者の動向に常に注意を向け、面談が終わると声をかけて、次に面談を希望する牧場ブースへ案内、状況によっては予備ブースで面談を行い、あるいは面談開始の時間予約を行うなど、非常に整然とした効率的な運営ができており、参加者・出展牧場からも空き時間がなく、面談に集中できたと大好評であった。

出展牧場は、独自に自牧場の紹介パンフレットなどを準備し、わかりやすい説明を行うなどの工夫が見られた。例年同様に面談者は牧場主や場長など各牧場の責任ある立場の者が務め、就職希望者の不安や期待などを引き出すとともに、質問にも即答できるようなコミュニケーションをとっており、ブースの運営も円滑に行われた。

研修・相談エリア、競走馬のふるさと案内所

「JBBA・BTC研修相談ブース」の面談者はJBBAが40名、BTCが32名で、前年よりも増加した。面談では、研修内容の確認や寮生活など具体的な内容の質疑が行われた。また、将来は馬の生産育成や馬に関わる就業をするためのスキル習得のファーストステップとして、JBBAの生産育成技術者研修またはBTCの育成調教技術者養成研修を受験したいという中期的ビジョンを持った参加者も増えた。6月の開催ということで、体験入学会への参加を呼びかけることができるメリットがあった。両ブースともほぼ常時、予備ブースと両方で面談を行っており、参加者の真剣度を感じることができる、数・質とも充実した内容だったようだ。

「進路指導コーナー」にも保護者と参加者の28名が牧場への就職を前提に、進路について時間をかけて相談をしている姿が目立った。担当教諭方からは、土曜日のオープニングと同時に、北海道静内農業高等学校の生産科学科に絞って入学希望という中学生と保護者の方との面談を行うことができるなど、2日間通じて非常に内容が濃かったとのことだった。このフェアに参加したことで同校に入学を決めた生徒は3年生に1人、2年生に1人いるとのこと。地元の北海道でも生産牧場からの求人があることが浸透していない面もあるので、今後は北海道でのPR活動にも力を入れたいとのことだった。

「競走馬のふるさと案内所」は、受付後の会場の入口付近において、「牧場地図」と「牧場見学のルールマナー」を展示し、来場者ほぼ全員に声をかけて配布した。

来場者コメント

今回初参加の静岡県から男女6名で参加した高校生グループからは、「学校に届いたBOKUJOBのパンフレットを教諭が紹介してくれ、参加を薦められた。部活でもポニーを飼育しており、将来は馬に関する職業に就きたいと全員が思っている。今回は総合牧場、研修所のブースを、時間をかけて何ヵ所も回った。説明もわかりやすく、会話も面白いと感じた。参加をしてみてより一層、馬の仕事をやれそうだと自信がついた。」

また、埼玉県から保護者と参加した高校生の女子からは、「幼少から動物を飼っているのでその方面に進みたいと考えており、馬の仕事には興味を持ち続けていた。保護者も地元を離れることに理解はあるが、面談を終えてみて、体力という面で少し不安を抱いた。」などのコメントがあった。

出展牧場コメント

北海道から参加の大手牧場からは、「2日間で45名の面談を行った。予備ブースも利用できたので、1組当たり平均で10分以上は面談できたように思う。これまでも毎年、このフェアを通じて1~2名の採用を行っている。6月開催は、自牧場で行う夏季のインターンシップ制度への参加を薦められるのでメリットがある。全国の高校の就職指導の教諭方の参加が増えると効果が大きいように思う。」

今回初めて参加した関東地区の牧場からは、「2日間で14名と面談することが出来た。北海道からの出展牧場が多いので、関東地区の就職希望者とうまくマッチング出来たように感じる。直接話をすることで、自牧場が現役の競走馬を扱うことが多いことなど他牧場との特徴の違いなどを説明できた。人手不足でもあり、継続して出展していくことも考えている。」

また、同じく初参加の北海道の牧場からは「本社は東京拠点で、そのグループ内の競走馬を扱う牧場である。2日間で19名の参加者と面談が出来て良かった。特に女性の人材確保を希望して出展した。今回は人事専門担当者が面談したので、次回は牧場スタッフを面談者に加えて参加したい。」といった感想が寄せられた。

7回目となった今回の来場者は合計254名で、内訳は高校生以下50名、大学生・専門学校生他73名、その他の保護者や見学者、学校関係者が131名で、牧場側が希望する高校生以下の参加割合も比較的高かったようだ。

事務局からは「今年はフェアを昨年より前倒しして6月の実施としたが、多数の牧場関係者にご参加いただき、また、熱意を持った就労希望者の皆さんの来場により、大変有意義なフェアを開催でき、事務局一同ほっと一安心といったところです。また、今後も生産育成牧場と就職希望者の橋渡し役として、皆様のお役に立ちたいと考えておりますので、ご協力をよろしくお願いします。」とのコメントが出された。

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