2017 グランド牧場レポート

2017 グランド牧場レポート

グランド牧場

昨年に続き、牧場で働く体験をしてみたいという参加者を受け入れてくれたグランド牧場は競走馬の生産、販売、育成、コンサイナー、調教を行う総合牧場で、その歴史の中でスズカマンボやサンビスタなど芝ダート両方のGIホースを送り出しています。生産馬は市場などで売却する一方で、自分自身が馬主となるオーナーブリーダーとしての側面も持っています。


放牧するスタッフについて歩きながら体験

総合牧場らしく施設は広大で充実。一歩足を踏み入れるとまるで別世界。そんなグランド牧場に今年お世話になるのは競馬好きな3名の男子高校生です。「馬に関する雑務はどんなものがあるのか知って体験したい、普段は見る事が出来ない仔馬に接してみたい。」「生産から育成までやっている牧場に来る事が出来たのでどういう事をやっているのか深く知りたい。一連の流れを知りたい。」「調教する様子を生で見学できるなんてめったに出来ない事なので楽しみ。」などやってみたい事がたくさんあり期待に胸が膨らんでいました。

最初は、参加者も利用させてもらう寮を見学。その後、繁殖厩舎や中期育成厩舎、何頭入るのかわからないくらい大きなウォーキングマシン、放牧地などの牧場施設案内をしてもらい、午後からはトラックの荷台に満載に積まれた青草おろしを経験させてもらいました。それが終わるとすぐに放牧の見学です。見学といってもただ見ているのではなく馬を引いているスタッフと一緒に歩いて放牧地まで行くのです。簡単そうに見えますが馬と一緒に歩く速さや距離感など難しく、それを何頭も何頭も繰り返すのはかなりの運動量。でもスタッフは疲れた様子もなく颯爽と歩いて行くので、一生懸命ついて行きました。


ボロ拾い体験

放牧が終わると、馬が使っていた馬房掃除に取り掛かります。ボロ拾いをなんとかこなし、汚れている寝藁を取りだしたら後は寝心地が良いようにフワフワに藁をひきます。先輩スタッフは軽いタッチでこなしていたので、高校生もチャレンジしてみましたが、手早く綺麗に出来ない!!「無理だ~!」思わず声をあげると「馬房掃除をしていると筋肉がつくよ。1年やったら腕が1.5倍位太くなるから。」と聞きビックリしてしまいました。馬房に足すバッカンの山を押す、竹ホウキで掃くなど厩舎作業は本当に腕の筋肉と体力が必要な作業だと実感しました。


たりない寝藁を足す作業

スタッフのみなさんが当たり前のようにやっている馬の手入れは、ただブラシをかけて毛並みを整えるだけのものではないのだそうです。「要求したことを出来たら褒めるというちょっとしたコミュニケーションを大切にしながら進めていきます。それが、馬が人の言う事を意識するカギになる。扱いやすい馬になることが馬の将来のためになるんだよ。どこを触っても大丈夫な馬になるように声をかけながらブラシをかけて、手入れが終わったら「ありがとう」と褒める、それが大事。じゃあ、やってみようか。」
そこまで考えての作業なのかと感心しながら、毛並みにそってブラシをかけると、若馬の皮膚がツルツルになることにまた驚いてしまいました。


手入れは声をかけながら

牧場の朝は早く、午前5時にスタートです。青草の作業、厩舎作業、寝藁作業、水やり、育成の見学、手入れ、放牧集牧の見学などを体験していきます。育成スタッフは「競馬が好きで牧場に興味を持って来てくれたので、将来牧場で働けるように一連の仕事の流れを見てもらい、作業に関心を持ってもらえるようにできたらと思いますが、何より「馬って素晴らしい」という事を伝えたいですね。」と話してくれました。

グランド牧場での体験の感想を高校生達に聞くと、「馬にかかわり世話ができるってすごいなと思いました。」「乗馬クラブに通って馬と接していましたが、今までより馬が近くに感じます。」「馬ごとに大きさなど個性がある事がわかった。」「有名な馬を近くでみる事ができて感動した。」など、心に残る貴重な体験ができたようです。

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