2014 辻牧場レポート

2014 辻牧場レポート

辻牧場

競馬が大好きな大学・高校生の男子3名が参加したのが、浦河町の辻牧場。明治43年創業で、馬産地では老舗の牧場です。2013年は生産馬ハッピースプリントがNAR年度代表馬に輝き、2014年は2頭の生産馬が日本ダービー(GI)の舞台に立って、明るい話題が続いています。BOKUJOB・牧場で働こう体験会では、取り組み当初から協力しています。


根気のいる雑草抜き作業

ここでの体験内容は放牧地の環境整備が中心で、受け入れ担当の辻義明さんとともに、山の上にある放牧地で雑草抜きをしました。専用の道具を使っての作業は、根っこから雑草を取り出し、土をはらって大きな袋に入れます。ひたすらこれを繰り返すわけですが、放牧地は広く、1つ、2つと消化してもなかなか状況は変わりません。根気のいる作業に加えて、毎回腰を入れないと雑草を抜けないので、地味に重労働を強いられます。黙々と作業に没頭する辻さんに習い、参加者も一生懸命に雑草と向き合いました。途中休憩を挟みながらじっくりと作業に努めた結果、終える頃にはムラのないきれいな放牧地になりました。


雑草抜き終了!

作業終了後には、放牧時間になった繁殖牝馬、当歳馬が入ってきて、彼らが整備した放牧地で、草を食み始めました。参加者は「作業はなかなか大変でしたが、自分たちが雑草を抜いた場所で、馬たちが草を食べているところを見ると、やってきたことの意味を深く感じました」、「放牧地の管理も、馬が成長するために大事な仕事だと思いました」と、地道に励んだ時間を振り返りました。ダートの世代チャンピオンになったハッピースプリントも、彼らが作業した放牧地で幼少期を過ごした一頭でした。


雑草抜き作業後に草を食べる馬たち

体験期間中は天候に恵まれない日もあり、なかなか幅広い牧場体験は叶いませんでしたが、辻さんの計らいでアジア最大級の育成施設「BTC」付近の牧場へ足を運び、そのハッピースプリント本馬に会ってきました。幸運にも現役の一流馬を目の当たりにした参加者は、「見られるとは思っていなかったので、驚きました」、「他の馬とは目つきが違うように感じました」と、その貫録に興奮気味でした。また、牧場生産の重賞馬アドマイヤフジや、様似町の牧場へ移動してハッピースプリントの母マーゴーンと今年生まれた当歳馬も見学しました。特に、牧場でしか見られない当歳馬には興味津々な様子で、母仔寄り添う姿を写真に撮っていました。


辻義明さんの貴重なお話

他にも、辻義明さんからは強い馬づくりに関する苦労話や、どうやって馬の交配を決めるか、馬産地と政治の話などを聞き、参加者は牧場についての知識を広げました。「初めて聞く話ばかりだった」という声から、牧場体験ならではの耳寄りな情報もあったようです。「牧場の仕事では、何事も馬を優先するという考えがよくわかりました」、「経営者の考えや馬産地の問題など、専門的な話もありました」と、聞いた話の数々を温めていました。

牧場体験の受け入れを終えて、辻義明さんは、「真面目な子ばかりで、何より、馬が好きという気持ちがひしひしと伝わってきました。馬産地・競馬業界にとっては、こうした若者の存在は本当に喜ばしいですね。よく話を聞いていたし、作業の指示にしっかりと従ってくれました。期間中は色々な話もできて、配合論の話では、今でいうステイゴールドとメジロマックイーンのようなニックスについて、昔の例を持ち出して話をしました。馬という生き物は多種多様で、牧場では大変な仕事も多々あり、厳しい世界ではありますが、やりがいは十分あります。この体験で何かを掴んでくれたら幸いです。」と、エールを送っていました。

各牧場での仕事体験レポート(2~4日目)

過去のレポート