2014 杵臼牧場レポート

2014 杵臼牧場レポート

杵臼牧場


竹ぼうきで馬房掃除

平成の名馬テイエムオペラオーをはじめ、近年は日本ダービー(GI)4着のペプチドアマゾン、同じく国内重賞で好走歴があり、キズナのフランス遠征にも帯同したステラウインドらを生産している杵臼牧場。浦河町に本場と分場があり、約40頭の繁殖牝馬がいます。こちらでは大学・高校に通う3名の女子が体験に参加しました。

「牧場の仕事をするにあたっては、理想を抱くことも大事ですが、ある程度現実の仕事を知ることも大事です。体験を通じて少しでも収穫があると良いですね。」
という、同牧場・鎌田信一社長夫妻と牧場スタッフの指導のもと、参加者は作業に取り組みました。


馬の手入れ作業開始!

こちらでは寝わら上げ、水くみ、厩舎清掃、馬の手入れなどをしました。寝わら上げでは慣れないホックを使いながら、汚れた寝わら・再利用する寝わらをせっせとより分けました。「ボロのにおいは平気でしたが、寝わらを上げるのに腰を使うし、想像以上にハードでした」、「寝わらを分けるさじ加減が難しかった」とは、ひと汗かいた参加者の声。掃き掃除では竹ぼうきを使い、厩舎の廊下を掃いていくのですが、参加者の迷いのある動作を見るや、鎌田社長が姿勢や力の入れ方をアドバイスしました。経験豊富なスタッフの域には及びませんが、何度か回数を重ねてくると素早く掃けるようになりました。一見容易に見える作業も、大なり小なり学びがあります。多岐に及ぶ仕事をサラリとやり遂げるスタッフの背中を見ながら、「牧場には沢山の仕事があって、牧場の皆さんはその細かいことまで把握していると実感しました」、「力仕事を含めて、毎日毎日していくわけですから…馬が好きじゃないとできないと思いました」と、感想が返ってきました。


牝馬にブラシを当て手入れをする

馬の手入れではスタッフより説明を聞き、気性の穏やかな繁殖牝馬にブラシを当てました。馬房で馬と対面すると、優しく声をかけながらコンタクトをとり、体全体をきれいに仕上げます。最初は探り探りだった手つきも、慣れてくると少し変わり、馬にリラックス感を与えていました。参加者は「馬体の大きさに驚きました」、「なかなかできない体験ができ、勉強になりました」と、目を輝かせていました。他にも、1歳馬や母仔の放牧地に出向き、成長中の幼駒をまじまじと観察。のどかな風景の中に真剣な眼差しがありました。「元気があり過ぎるぐらいの仔もいれば、大人しい仔もいて、個性があることを実感しました」、「1歳馬は躾されていると感じました。ただ、やんちゃな当歳を見ると、躾をするのは大変なことなのではと思いました」と、それぞれに知識や想像を膨らませていました。

期間中、大雨に見舞われた日は応接間で鎌田社長・スタッフと仕事についての話を聞きました。話題は仕事のやりがいや注意していること、起床・就寝、食事の時間といった牧場の人の生活スタイル、体力仕事のために心掛けていること、休日の過ごし方など。具体的、現実的な話にじっと耳を傾ける参加者に、牧場の皆さんは良い刺激を与えるように、役立ちそうな情報をわかりやすく伝えていまいた。


笑顔で参加者を送る鎌田社長

晴天に恵まれた最終日、鎌田社長は無事受け入れを終えて、笑顔で参加者を送り出しました。「参加者の皆さんは、今年も熱心に取り組んでいたと思います。牧場は生き物を扱う仕事ですから、本やインターネットで見るよりも、実際にやってみて、肌で感じることの方が大切だと思っています。特に、サラブレッドは敏感で、神経質ですからね。ある程度、どんな特徴があるのか知っておくべきだし、恐怖心がある場合は、矯正しておくべきでしょう。また、厩舎作業で使う道具一つとっても、何かしら難しさはありますからね。これまで色々な人を雇ってきましたが、馬だけでなく、人とのコミュニケーションがとれないと、牧場の仕事は務まりません。わからないことは素直に質問する姿勢を、これからも続けて欲しいと思います。あとは、大事なことは馬が好きであるかどうかです。好きな人は観察力が鋭いし、馬の特徴や個性を覚えるのも早い。馬の仕草に変化があれば、いち早く気付くことができます。牧場仕事は初心者でも、馬に対する気持ちがあるかどうかが重要ですね。」

各牧場での仕事体験レポート(2~4日目)

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