2014 参加者感想文

2014 参加者感想文

佐藤優さん

元々動物が好きで、競走馬育成ゲームでわけも分からず遊んでいた小学生時代。小学五年生の時、たまたま点けたテレビ中継、1頭の馬がゴールした瞬間大きな歓声が上がった。

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その異様な雰囲気に画面越しでのめり込んでしまった。菊花賞、ディープインパクトが無敗の三冠馬となった瞬間だった。それから、競馬のギャンブルの面よりも、スポーツとして、生き物としてかっこいいサラブレッドを好きになった。「いつかディープの仔の世話をする」それが当時の夢であったが、頭の中で色々悩み考えるうちに大学生になってしまっていた。サラブレッドは経済動物であるということを、どうしても割り切れないでいたからだ。何度も考えたがこんな気持ちでは…と、馬の世界に飛び込めずにいた。実際に現場で体験してこの気持でもやっていけるのか、素直になって考え、確かめたかった。これが「牧場で働こう体験会」に参加しようと思った最大の理由である。

サラブレッドに触れる機会は日常の生活ではまず無い。競馬場で見ることはできても何となく近くて遠い存在。生産牧場で実際に馬の傍で体験させていただけることが何よりも楽しみであった。

初めてサラブレッドの厩舎に入った。厩舎内には大音量で流れるJ-POP。何となく静かなイメージだったから、衝撃だった。初めて教えていただいた仕事は、藁を乾燥させるお仕事。フォークの使い方が想像よりも難しかった。
次に水桶の掃除。馬が口をつけるところなどを中心に全面を水で洗っていく。夏でも少し冷たく感じる水は、冬には想像を超える冷たさなのだろうと思い質問したところ、なんと水に触れている方が温かく感じるそうだ。恐るべし、北海道の冬。その後、ブラッシングをした。おとなしい馬たちのブラッシングを任され、馬房という同じ空間の中に、そしてこんな長い時間触れていたのは初めてだった。馬たちはじーっとしている。それぞれ個性があって可愛い。生産牧場では馬に触れる時間は意外と少ないと聞いていたが、本当にこの時間くらいしか触れるときは無い。だからこの時に怪我をしていないか、変わったことはないか入念にチェックするのだそうだ。毎日見ているからこそ、その変化に気づけるということで、スタッフの皆さんの馬たちへの愛情が感じられた。他には放牧や集牧の時に少し馬の傍にいられて嬉しかった。この時には馬に足を踏まれないように注意する。骨折なんてことも実際あるとのことだ。

馬用の薬を教えていただき、少し薬をなめてみたらとても苦かった。薬が嫌なのは馬も同じなのだと思う。人間用の薬でも馬に使うときは使う量がとてつもなく多くて驚いた。
寝藁の掃除では、ボロ拾いや汚れた藁を分別。なかなかどれが使えて、どれがもう使えないのか判断が難しく、ササッと掃除を終えるスタッフさんは凄い。
普段はこんなことは無いと思うが、馬たちが放牧されている中に一緒に入って触れ合うことができた。後をずっと追ってきたり、噛んで遊んできたり、当歳馬はみんな人懐っこく可愛い。いつも見ている競馬場にいる馬たちにも、こんな時期があったのかと思うと感慨深い。
牧場での体験は四日間。他にも沢山の事を教えていただいた。私より一つ年上の女性が働いており、色々な話を聞いた。同年代で馬の仕事をしている姿はとてもかっこよかった。どれも貴重な体験で、ずっと学ぶことだらけだった。

牧場体験以外でも沢山のお話を聞いたり、施設や馬の見学をした。その中でも特に印象に残ったこと書きたい。
JBBA種馬場を見学し、いくつか印象に残った。一つは、引退した牡馬の生き残りは厳しいということ。もちろんそのことは以前から知ってはいたが、実際の現場で働いている方から話を聞くと、なんだかリアルが増す。競馬の世界、血統、そこで動く巨額なお金。人間が生み出したサラブレッドは、たった1頭で数億の値がつく馬から、生き残ることができない馬までいて、なんだか残酷な世界だなと思ってしまった。だが、そうでないと強い馬を生み出すことはできないことも、競馬に関わる上でしっかり理解していないといけないと感じた。
もう一つは、手術室を見学したときのこと。この手術室では年間約240頭もの馬の手術が行われるらしい。私はその中でも生きることができるのは半数くらいかと思ったが、実際は手術がもとで死んでしまう馬はほんの数頭であると聞いて安心した。ここでは、小さいころに脚に不安がある馬を矯正し無事に走れるようにすることも行っていることも知った。勝てない馬には決して明るい未来が待っているわけではないのが現実だが、このように少しでも勝つ可能性を高める努力を関係者の方々は精一杯していた。それはここだけでなく、体験先の牧場、懇談会での牧場関係者の方々、BTCやJBBA研修の方々、共通して同じだった。そうだと知って私はなんだかすごく嬉しい気持ちになった。

最後に社台スタリオンステーションで、沢山の種牡馬を見せていただいた。競馬場で見たことがある馬、中継で見ていた馬、やはりみんな何かオーラが違う。2006年のジャパンカップ以来、約8年ぶりに遠くからですがディープにも会うことができた。あの時、あの深い衝撃を受けていなかったら今ここには来ていない。改めて、ディープには感謝の気持ちしかない。短い時間ではあったがまた会えて感動した。

最後に、この体験会に参加した感想を。
正直、最初に抱いていた思い、経済動物ということに対してはこの6日間では解決できなかった。この気持では馬の世界に行くことは向いていないとも感じた。しかし、体験したこと、見学したこと、お話したことは将来を考える上で全てプラスだったと思う。現場に行かないと良い面も悪い面も分からなかったと思う。ネットだけでは判断してはいけないな、と。全てが有意義な時間だった。

お世話になった杵臼牧場のみなさん、馬が大好きな参加者のみなさん、ほかにも沢山の出会いがありました。ありがとうございました。
そして、このような機会を与えてくださったBOKUJOBスタッフの皆さん、とても楽しい時間でした。これからこの体験を生かしていきたいです。本当にありがとうございました。

石黒茉音さん

私がこの体験会に参加した理由は、「馬の仕事をするにはどのような進路に進むのがよいか?」を見て聞いて考える機会が欲しかったからです。

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私は、普段は乗馬クラブで馬房掃除のアルバイトをしながら馬に乗っています。以前から漠然と馬に携わる仕事がしたいと思っていましたが、馬に携わる仕事には様々なものがあることを知りました。自分は何がしたいのだろう?と考えたとき、自分でも何がしたいのかよく分からず悩みました。そんな時、母からBOKUJOBプレフェアに参加してみたら?と言われ、昨年中京競馬場へ足を運びました。その時に牧場にインターンシップ制度があることを知りました。実際に北海道の牧場へ行ってみようと思い、有名馬を多数輩出しているノーザンファームに研修に行きました。十二月だったので、放牧地の馬たちは白い息を吐き、背中には雪が積もっていました。私が研修させていただいたのは生産部門で、お腹に赤ちゃんがいる出産前の馬の世話をさせていただきました。大好きな馬と毎日触れ合うことができ、仕事は大変でしたがとても達成感がありました。食事会に参加させていただいた時に、いろいろな方とお話する機会があり「こういう進路がいいよ」「こうしたほうがいいよ」と、沢山のアドバイスをいただきました。しかし、私はなおさら自分の進路についてどうしたらいいのだろう?と悩むことになりました。そんな時、BOKUJOBのホームページで体験会の存在を知りました。

夏の北海道は冬とは違い、木々が青々としていていました。そんな景色を見ながら期待に胸を膨らませていたのを覚えています。

アエルでの乗馬体験では、普段乗馬クラブでは味わえない、大自然の中で開放感いっぱいでの乗馬はとても気持ちよかったです。

また、私が牧場就業体験をさせていただいたのは様似堀牧場でした。ノーザンファームとは違い、小規模な牧場でした。頭数が少ない分、一頭一頭大切に愛情込めて育てておられるのをすごく感じました。初めて見る当歳馬は、とても人懐っこく愛らしかったです。集牧の時、初めて仔馬の引き馬をしましたが、想像していたより力が強くてびっくりしました。また、仕事は天気に左右されることも知りました。トラクターに乗せていただいたり、ジャム作りを一緒にさせていただいたりと普段とは違う体験ができ、貴重な経験をたくさんさせていただきました。

進路の一つとして考えていたBTCでの研修にも参加させていただきました。パンフレットなどでは見ていましたが、実際に施設を訪れて、素晴らしい施設だということと一人ひとりをしっかり指導してくださるということがわかりぜひ入学したいと思いました。そして、こちらで馬のことをもっと勉強したいと思いました。

また体験会に参加して、馬好きな友達がたくさんできたことが嬉しかったです。みんな、それぞれいろいろな進路を考えていることが分かり、自分も頑張ろうと思いました。

この体験会に参加したことで、もやもやとした気持ちを整理することができたように思います。やはり、百聞は一見に如かずだと思いました。

体験会は、広大な北海道の大自然の中、時間がゆっくり過ぎていくような感じがしましたが、あっという間の六日間でした。

私のように、悩んでいる人がいたらぜひこの体験会に参加してみてください!きっと何かを見つけることが出来るのではないかと思います。参加して本当によかったと思いました。

最後に、お世話をしてくださったスタッフの皆さん、様似堀牧場の皆さん、講演してくださった方々、体験会に参加した皆さん、本当にありがとうございました!

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